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価格転嫁調査、物流は「交渉するも転嫁不十分」

2026年3月19日 (木)

調査・データ帝国データバンク(TDB、東京都港区)が19日に公表した価格転嫁に関する実態調査(2月)によると、企業がコスト上昇分を販売価格に反映できた割合を示す価格転嫁率は42.1%となり、前回比2.7ポイント上昇し、1年ぶりに4割台を回復した。ただし、コスト増の6割は依然として企業側が負担しており、転嫁の進展は頭打ちの様相を示している。

「多少なりとも価格転嫁できている」とする企業は76.9%に達した一方、多くは部分的な転嫁にとどまる。完全転嫁(10割)は4.7%にすぎず、「全く転嫁できない」企業も10.9%と1割を超えた。値上げ余地の乏しさと顧客離れへの懸念が、価格設定を制約している構図が浮かぶ。

業種別では、化学品卸売(62.1%)や鉄鋼関連卸売(57.7%)など中流で転嫁が進む一方、飲食店(32.8%)や宿泊業(28.2%)など川下産業ほど難しい。医療・福祉は14.7%と極めて低く、制度価格の影響が大きい。

▲サプライチェーン別の価格転嫁の動向(クリックで拡大、出所:帝国データバンク)

物流を含む運輸・倉庫業では、価格交渉自体は比較的行われている。仕入れ先との交渉実施率は54.6%、販売先とは62.4%に達した。ただし、交渉が成立しても十分な転嫁には至らないケースが多く、「話し合いを続けても進展しない」といった声に象徴されるように、交渉と収益改善が結びついていない。

直近6か月では、仕入れ価格が上昇した企業は71.5%に対し、販売価格の上昇は45.8%にとどまり、乖離は20ポイント以上に拡大した。特に小規模企業では交渉実施率が低く、コスト負担が内部に滞留する傾向が強い。

消費者の節約志向や値上げ抵抗に加え、サプライチェーン内の力関係が影響している。物流分野でも、燃料費や人件費の上昇を運賃に反映できず、キャッシュフローを圧迫するケースが広がる可能性がある。

調査は、価格転嫁が企業単独の努力では限界に近づいていることを示す。今後は取引慣行の見直しや制度的後押しが不可欠であり、特に物流では運賃転嫁の遅れがサプライチェーン全体の持続性に直結する局面に入っている。

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LOGISTICS TODAY編集部
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