ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ナフサ調達不安で半数が在庫確保、TDB調査

2026年6月23日 (火)

調査・データ帝国データバンク(TDB、東京都港区)は23日、中東情勢に伴うナフサなど石油製品の供給状況に関する企業調査の結果を発表した。供給不安に対し、企業の51.7%が「在庫の確保」によってリスクに備えていることが分かった。原材料・部材の仕入コスト上昇を挙げた企業は83.9%に上り、調達不安定やリードタイム長期化も広がっている。影響は、単純な供給停止というより、商流上の偏りや価格変動、納期条件の見直しとして表れている。

▲事業活動に生じている影響(クリックで拡大、出所:帝国データバンク)

調査は5月21日から31日にかけてインターネットで実施し、4604社から有効回答を得た。3・4月時点と比べた事業全体への影響については、「影響はさらに強まっている」が32.6%、「やや強まっている」が36.8%で、合わせて69.4%の企業が影響の強まりを実感していた。

事業活動に生じている影響では、「原材料・部材の仕入コスト上昇」が83.9%で最も多く、「調達が不安定/入手困難」が73.0%、「調達リードタイムの長期化」が50.2%で続いた。「物流・輸送・包装コストの上昇」も48.9%に達し、石油製品由来の資材価格や調達条件の変化が、輸送・保管・包装のコストにも及んでいる。「仕入価格の変動が激しく、見積・契約が困難」は42.8%で、価格が固まりにくいことが受発注や契約判断の重荷となっている。

調達上の支障が最も生じている資材は、塗料、接着剤、シンナーなどの「化学系加工資材」で29.6%だった。次いで、粘着テープやプラスチック容器などの「包装・物流資材」が20.2%、「設備・建築・電子部材」が13.9%となった。一方、ナフサを含む「原材料・基礎化学品」は11.9%、「燃料・エネルギー関連」は6.8%にとどまった。川上の基礎素材が全面的に不足しているというより、加工・流通段階で使われる副資材や包装材に支障が出やすい状況だ。

企業の対応では、「在庫の確保」が51.7%で最多となった。前倒し発注や安全在庫の積み増しによって供給不安に備える動きが広がる一方、在庫確保を実行できていない企業も37.2%あった。資金力や保管余力、仕入先との関係性によって対応に差が出ている。ほかに「価格改定」は39.5%、「顧客への納期・価格・仕様の再交渉」は37.8%で、企業は在庫だけでなく、販売条件の見直しによってコスト上昇の吸収を図っている。

商流別では、「顧客対応の優先順位付け」が全体で14.4%だったのに対し、「卸売・流通」では21.6%と2割を超えた。限られた在庫や納期余力をどの取引先に配分するかを見直す動きが強まっている。供給側にとっては合理的なリスク管理だが、価格改定に応じにくい企業やスポット取引、小口取引先では、手配や納期回答が難しくなる可能性がある。需要側の在庫確保と供給側の選別が同時に進むことで、総量の不足だけでは説明できない商流上の目詰まりが生じている。

在庫日数にも業種差が出た。基礎素材・資源供給を担う川上産業は平均50日分、一次加工は52日分を確保していたが、中間流通に当たる卸売・流通は39日分にとどまった。川下では建設業が24日分と少なく、自動車や食品製造などの最終組立は56日分、小売・サービス・インフラは45日分だった。仕様が案件ごとに異なる建設関連などでは、需要変動や納期不安を在庫で吸収しにくい。

収益性や財務体質による対応力の差も目立つ。赤字企業では「見積・契約が困難」が51.6%、「資金繰りの悪化」が15.1%となり、営業利益率10%以上の企業を大きく上回った。有利子負債月商倍率が10倍以上の企業では「資金繰りの悪化」が18.6%に達し、借入なしの企業の0.5%との差が開いた。価格高騰局面では、売上規模だけでなく、利益率と借入負担が在庫確保や代替調達の実行力を左右している。

中東情勢を契機とした石油製品の供給不安は、現時点では全面的な供給停止ではなく、価格上昇、納期不安、特定資材の手配難として企業活動に影響している。物流分野では包装材、粘着テープ、樹脂容器、塗料、接着剤などが出荷、保管、施工、納品の各工程に関わるため、川中資材の調達条件の変化が現場の運用コストに波及しやすい。

企業には、一次仕入先だけでなく、供給元や代理店を含めた商流の把握が求められる。複数の仕入先を持っていても、上流で同じメーカーや商社に依存していれば、リスク分散は十分とは言い切れない。価格転嫁、納期調整、共同調達、在庫融通を進めるには、平時からの取引関係と資金余力が必要となる。ナフサなど石油製品をめぐる不安は、調達部門だけでなく、物流コスト、販売条件、資金繰りを含めた経営管理の問題として重みを増している。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com

LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。

ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。