ロジスティクス平産業運輸(宮城県岩沼市)とトッキュウ(北海道岩見沢市)は21日、M&A成約式を開催した。宮城県で大手ゼネコンや地場建設会社向けに鉄鋼材やセメント材などの建設資材輸送を手がける平産業運輸が、北海道を中心に大型貨物輸送や石油製品販売などを展開する設立67年のトッキュウのグループに入る。宮城県仙台市で執り行われ、両社の代表や関係者が出席した。
今回のM&Aは、平産業運輸の事業承継課題の解決と、トッキュウの商圏拡大、成長戦略の実現を目的として行われた。平産業運輸代表取締役の平良夫氏は70代の創業オーナーであり、親族への事業承継を検討したものの意思がなく、第三者への譲渡を検討するに至った。

▲(左から)平産業運輸社長の平良夫氏、トッキュウ社長の工藤真也氏
式典と囲み取材のなかで平社長は、30歳で創業し45年の歴史を持つ会社を手放すことについて「我が子を手放すような感覚があり、眠れない夜もあった。途中で交渉をやめようと思ったことも複数回あった」と率直な葛藤を吐露した。しかし、「社員全員の安心と安定を継続するためにはこの選択がベストだ」と自分に言い聞かせ決断に至ったという。トッキュウの企業姿勢や社員・地域を大切にする前向きな心構えに触れ、「全てが合致した」と語り、取引先や社員の多くも今回の決断を歓迎してくれると確信している旨を示した。
対するトッキュウの社長である工藤真也氏は、これまで他社からの打診を断ってきた経緯に触れつつ、平産業運輸の名前を聞いた時点で「心が半分奪われた」と明かした。自身が現場にいた頃から平産業運輸のドライバーの質の高さや東北エリアでの知名度を熟知しており、およそ1年間の協議を経て「100%合致する」と確信したという。さらに、平産業グループの「お客様のご依頼を誠実に受け、物流と地域を支え続ける」という理念が自社と完全に一致していると語った。北海道と宮城県という地理的な距離についても、互いのエリアでの協力体制が強化されるとポジティブに捉えており、平産業運輸が培ってきた経営スタイルを尊重しながら相乗効果を図る方針を示した。
また、運送業界全体が直面するドライバー不足や労務管理の厳格化について、工藤社長は「60-70代の現役ドライバーの引退が今後加速するなか、両社が扱う特殊貨物はAIやロボットで容易に代替できるものではなく、課題は非常に大きい」と指摘。その上で、グループ全体の売上規模が77億円へと拡大することによる効果について、「スケールメリットにより業界内での知名度、信頼感、安心感が向上し、物流業界を目指す人材に対するグループとしての魅力や採用力の底上げにつながる」と期待を込めた。
今後は平前社長による経営支援や助言のもと、両社が協力しながらさらなる事業成長と企業価値の向上を推し進める。(土屋悟)
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