調査・データA.T.カーニー(東京都港区)は21日、論考「サプライチェーン・リスク管理の新たなアーキテクチャ」を公開した。グローバルなサプライチェーン寸断が近年40%増加し、復旧に12週間を超えるケースもあると指摘し、AI(人工知能)や代替データを使ってリスクを早期に検知する「予見型リスク・インテリジェンス」の構築を提言した。
論考によると、サブティア・サプライヤーについて十分な可視性を確保している組織は5社に1社未満で、多くの供給ショックはサプライチェーンのより深い階層から発生するという。サプライヤーの再設計には最大2年を要するため、寸断が顕在化してから対処する従来型のリスク管理では対応時間を確保しにくいとしている。
一部の先進企業では、規制や物流、気候などに関する5000超の早期指標を監視している。AIで通商フロー、気候データ、政策発表、社会的センチメントなどを継続的に分析し、供給網への影響が顕在化する前に兆候を把握する。自動車分野ではリチウム鉱山の許認可動向から電池材料不足の兆候を18-24か月前、ティア2サプライヤーの労働争議では寸断発生の最大60日前に警戒情報を得られる可能性があるという。
同社は次世代のリスク管理について、分析対象と優先領域の明確化、シグナルの将来予測への転換、事業への影響の定量化、組織横断の対応という4つの設計原則を提示した。早期情報を生産能力の確保や調達調整、在庫再配置など物流・調達上の意思決定につなげることで、サプライチェーン寸断による影響を最大45%削減できる可能性があるとしている。
事例では、グローバル自動車メーカーが5000社のサプライヤーにまたがる40万点超の部品を追跡し、単一供給源への依存を約1200件から300件未満に削減した。2020年のパンデミックに伴う供給網寸断では復旧速度が87%向上し、米ドルで10億超の潜在的損失を回避したとしている。
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