話題9月8日から11日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「国際物流総合展2026」で、ROMS(ロムス、品川区)が過去最大規模の展示に臨む。
最大の注目はもちろん、公式発表したばかりの新型ケース自動倉庫「NINBUS」(ニンバス)だ。ボット1台・棚1連からスタートでき、1台のボットが棚を昇降してケースを取り出し、そのまま地上を走ってステーションまで搬送する。低天井、狭小地、変形地など、これまで自動化設備を配置しにくかった場所まで導入対象を広げようとする新モデルである。
NINBUSが広げる「自動倉庫を置ける場所と条件」

▲「NINBUS」
NINBUSの特長を端的に表すのが、「ボット1台で完結する」という考え方だ。
ボット自身が地上を走り、ラック内を昇降し、伸縮するアームでケースを取り出して、そのまま作業ステーションまで搬送する。「走る」「昇る」「荷物を出し入れする」という一連の動作を1台に集約することで、機器構成をシンプルにした。
基本構成も、この三次元ボット、ラック、入出庫ステーションの3要素。棚1連とボット1台という最小単位から始め、必要に応じて棚やボットを追加していける。自動倉庫を「完成形で一括導入する設備」ではなく、物量や事業成長に応じて育てていく設備として捉え直したところにNINBUSの新しさがある。
ROMSが狙うのは、単なる小型化ではない。
「まとまった矩形スペースがない」「天井が低い」「まず一部だけ自動化したい」。これまでなら設備条件を理由に検討対象から外れていた現場も、自動倉庫の候補地に変えることである。
保管面では、ラック片側に1棚最大4列のケースを配置する「クワトロディープ」を採用。両面で最大8列、走行路としてデッドスペースになりがちな最下段に保管することも可能だ。梁下5.5メートルの倉庫を想定した場合、一般的な軽量棚と比較して最大3倍の保管能力を確保できる。生産性においても、人が棚から商品を取り出す作業と比較すると4-6倍となる見込みだ。
さらに棚の高さを施設ごとの天井高に合わせられるため、途中で天井高さが変わる場所や、長方形・正方形ではない区画、柱などが邪魔になる変形スペースにも棚を配置しやすい。既存建屋を大きく改修せず、空いている場所から自動化する使い方も想定する。

ボットには昇降機構を持たせ、作業者がケースを受け取る高さを現場に応じて変えることもできる。単に保管密度を高めるだけでなく、ピッキングする人との接点まで含めてシステムを組み立てている。既成のコンテナやトレイに対応し、コンテナ内の仕切りでSKUを高める運用にも最適だ。
また、保管、ピッキングはもちろん、仕掛り保留、出荷バッファ、順立て出庫なども、NINBUSは同じ棚とボットが、呼び出す順序と戻す先を変えるだけで作業を処理する。

一方、ROMSが設計思想として強調しているのは、ボット単体の最高速度ではなく、システム全体を止めずに動かすことだ。
自律分散制御AIによってロボット群をリアルタイムで制御し、一部に異常が起きた場合にも周囲が補完することで、システム全体の継続稼働を図る。「1台がどれだけ速く走れるか」ではなく、複数台を含むシステム全体が一定時間、よどみなく動き続けられるかを重視する。
自動化が広がれば広がるほど、「設備を入れること」以上に「設備に依存した現場をどう止めないか」が重要になる。NINBUSは、ROMSがその次の課題へ踏み込んだモデルともいえる。より柔軟で、導入しやすく自動化の裾野を広げることが期待される。
ただし、今回のROMSを見るうえで、NINBUSだけに目を向けるのは少しもったいない。
同社は東7ホールのROMSブースを中心に、日本GLP、トヨタL&Fの各ブースを含む計3か所にソリューションを展開する。ROMSブースではこのNINBUSを中心に披露、トヨタL&Fブースでは既存のケース自動倉庫「Nano-Stream」(ナノ・ストリーム)、日本GLPブースでは「梱包アシストAI」を紹介する計画だ。
3つのブースを通じて見えてくるのは、「どの自動倉庫が最も優れているか」という単純な比較ではない。
倉庫の広さや天井高、建物形状、物量、投資余力、さらには自動化したい工程によって、採るべき方法は変わる。ROMSが今回提示するのは、現場を機械に合わせるのではなく、現場の条件に応じて自動化の入り口を選ぶという考え方だ。
NINBUSとナノ・ストリーム、どちらも見られる
NINBUSの登場は、既存のナノ・ストリームに置き換わるわけではない。
複雑な建物形状や限られたスペースへの適応力を高めたNINBUSに対して、ナノ・ストリームは直線のハンガークレーン走行路とラックを基本骨格とした構成が強みである。
ナノ・ストリームはクレーンとケース搬送AGVが役割を分担する方式で、100平方メートル程度から導入可能。小規模からスタートしながら、物量に応じて設備を拡張できる。すでに実際の物流センターへの導入も進むなど、実績を積んだ主力製品となっている。
つまり両者は新旧の関係ではなく、現場条件によって使い分ける関係にある。
今回、ナノ・ストリームはトヨタL&Fブースで紹介される。新機種NINBUSを見た後にナノ・ストリームにも触れることで、「自社の物量や建物ならどちらが適するのか」という、より実務的な比較ができる展示会となりそうだ。
自動倉庫を検討する担当者にとって重要なのは、新しい機種を選ぶことではなく、自社に最も無理のない仕組みを選ぶことである。
自動化・効率化への多様なアプローチ
もう1つ、3ブース出展から読み取れるのが、ROMSが自動化の対象を自動倉庫だけに限定していないことだ。
自動倉庫が「保管・取り出し」の人手を減らしても、その先の梱包工程で人が迷えば、物流センター全体の生産性は上がらない。ROMSブースと日本GLPブースで紹介する「梱包アシストAI」は、出荷する商品に応じて最適な箱サイズや梱包方法をAIが提案するクラウドサービス。熟練者の経験に依存しがちな箱選びを支援し、資材費だけでなく、容積増による配送費の無駄を抑えることを目指す。現場からのフィードバックをAIの学習に反映する機能も強化している。
注文情報内の商品名からAIが自動で商品サイズを検索するため、事前にサイズ情報を登録する作業も必要ない。設備を置く自動化とは異なり、既存の作業環境を大きく変えずに導入できることも特長となる。
設備投資を伴うロボティクスと、比較的導入しやすいSaaSを同じ展示会で提示するところに、現在のROMSの立ち位置が表れている。
NINBUS、ナノ・ストリーム、梱包アシストAIと並べれば、「自動化するか、しないか」の二択ではなく、現場の規模と課題に応じて自動化の深さを選択するラインアップとなる。
国際物流総合展で探す、自社の「自動化の入口」
物流現場の自動化をめぐる選択肢は急速に増えている。だからこそ、展示会で見るべきなのは、ロボットの速度や派手なデモだけではない。
自社の倉庫に置けるのか。今の物量から始められるのか。物量が増えたときに拡張できるのか。設備の一部が止まっても業務を継続できるのか。そして、保管だけではなく前後工程まで含め、どこから自動化すべきなのか。
そこでもう1つ確認しておきたいのが、ROMSが「小型、日本製、短納期、柔軟対応」を自社の特長として掲げていることだ。
同社は平和島ラボを開発拠点として、ハードウェアからソフトウェアまで自社で開発している。前野洋介社長によれば、近年は顧客側から「日本製」であることを評価する声も増えているという。国産ならではの信頼性とともに、交換が必要なサービスパーツを国内で調達しやすいことや、ハードウェアにトラブルが生じた際に国内拠点から対応できることへの安心感が大きい。長く安心して使え、レジリエンスの強さが改めて評価される傾向にある。
ロボットを1台から導入できても、その1台が止まったときに支援を受けられなければ、現場は自動化に踏み出しにくい。導入コストだけでなく、稼働後の保守やアフターフォローまで含めて「小さく始められる環境」を整えることも、自動化の裾野を広げる条件となる。
ROMSが今回3つのブースで展示するソリューションは、それぞれ異なる問いへの回答となる。
「フォークリフトが1台あるのが当たり前のように、ロボットが1台あるのを当たり前にしていきたい」
NINBUS発表時、前野氏はそう語った。
その言葉が意味するのは、巨大な自動化設備をすべての現場に入れることではないはずだ。
数百平方メートルから始める自動倉庫もあれば、棚1連とボット1台から効率化できるヒントもある。梱包工程から見直す効率化もある。現場ごとに異なる「最初の一歩」を用意することが、自動化の裾野を広げる。
国際物流総合展2026では、まず東7ホールのROMSブースで新型NINBUSの動きを確認し、さらにトヨタL&F、日本GLPの各ブースにも足を延ばしてもらいたい。
3つの展示をつないで見ることで、NINBUSという新製品だけではない、ROMSが描く物流・製造現場の自動化の全体像が見えてくる。

会期:2026年9月8日-11日 10:00〜17:00
会場:東京ビッグサイト(東京都江東区)
ROMSブース(東7ホール/E7-ZJ09)
・「NINBUS」
・「Nano-Store」
・「梱包アシストAI」
トヨタL&Fブース(東1ホール/L01)
・「Nano-Stream」
日本GLPブース(東2ホール/R17)
・「梱包アシストAI」

































