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CLO協議会、答えを探す場から共につくる場へ

2026年9月3日 (木)

行政・団体フィジカルインターネットセンター(JPIC)は3日、2026年度の「第1回CLO協議会」を開催した。改正物流効率化法の全面施行を受け、3299社が特定荷主・特定連鎖化事業者として届け出を行い、物流統括管理者(CLO)の選任が進むなか、今後の焦点となる「実行」に向けた企業間連携のあり方を議論した。

JPIC 森隆行氏

会場には荷主企業のCLOや物流担当者のほか、物流事業者や倉庫事業者、デベロッパー、システム・設備ベンダーなど100人が参加。主催者であるJPICの森隆行理事長、経済産業省商務・サービスグループ流通政策課課長物流企画室室長の佐藤猛行氏らが登壇したほか、JPIC事務局長の奥住智洋氏から「CLOとLPDで実現する共同物流」の考え方と協会の活動方針が示された。後半には参加した多様な業種が11の班に分かれ、少人数によるラウンドテーブルで議論を深めた。

森氏からは、CLO制度の本格始動によって「物流を物流部門や物流事業者だけの問題として捉える時代から、経営課題としてサプライチェーン全体を見る時代へ変わる」との認識が共有された。

CLOを選任すること自体が物流改革につながるわけではない。共同物流を進めようにも連携相手が見つからない、物流を可視化しようにも必要なデータがない、DX(デジタルトランスフォーメーション)を掲げてもシステム導入そのものが目的になってしまう。さらに物流部門が問題を把握していても、経営、営業、生産など社内の他部門を巻き込めないといった課題もあるとした。

こうした課題に共通するのが、「一社だけではできない」という点だ。森氏は、実現を目指すフィジカルインターネットの本質について、一社ですべてを抱え込むのではなく、企業や業界の壁を越えて物流資産、能力、情報をつなぎ、社会全体で効率的な物流をつくることだと説明。CLOによる自社物流改革とフィジカルインターネットの実現は別々の取り組みではないと位置付けた。

経済産業省 佐藤猛行氏

協議会についても、参加企業がその場で「答え」を得ることだけを目的とはせず、「一緒に答えをつくる相手」を見つける場にしたいとの考えを示した。議論から企業間連携や共同実証、具体的な事業へと発展させ、「実装への第一歩」にすることを目指す。

続いてあいさつした経産省の佐藤氏は、物流の2024年問題以降、商慣行の見直しやデジタル技術の活用、物流効率化法の全面施行など、荷主と物流事業者の双方を巻き込んだ改革が進んできた経緯を説明した。

そのうえでCLOについて、単なる法令対応の責任者にとどまらず、「経営視点で物流改革を主導する役割」を期待するとした。

特に求める役割として2点を挙げた。

1つは、調達、生産、販売など社内の物流に関係する部門を横断して連携を促し、会社全体として改革を主導すること。もう1つは、自社だけでなく取引先や物流事業者とも連携し、サプライチェーン全体の効率化を進める「司令塔」となることだ。

共同配送やモーダルシフト、物流DXなど、現在求められている物流改革の多くは単独企業では完結しない。佐藤氏は、多様な企業が連携するフィジカルインターネットの実現には、物流資材やデータの標準化など解決すべき課題もあるとしながら、「物流を経営の中心に据え、戦略的に物流改革へ取り組むことが何より重要」と強調した。

JPIC奥住氏は、今年度のCLO協議会の基本コンセプトとして「CLO×LPD」について改めて説明した。

LPD(ロジスティクス・プロデューサー)は、荷主側のCLOに対し、倉庫・運送事業者や、サービスプロバイダーなど、物流改革を支える側のリーダーを指す。

背景には、CLOだけが制度の表舞台に立つ一方、実際の物流改革には倉庫、運送をはじめとするサプライチェーン上の各主体が同時に動かなければならないという問題意識がある。

JPICは今年度のCLO協議会について、「CLO×LPD」「ビジネスマッチングとヒューマンネットワークの構築」「共同物流の社会実装実現」をコンセプトに掲げる。

CLOに求められる役割は広い。自社物流のオペレーションを安定させるだけでなく、経営視点から他部門や取引先と連携し、サプライチェーン戦略を立案、実行しなければならない。

しかし、こうした能力を1人のCLOにすべて求めることは現実的ではない。社内で「CLOチーム」を形成するとともに、外部の物流事業者やサービス提供者の力を活用する必要がある。JPICは、LPDについて従来のように個別の物流課題にソリューションを提供するだけでは不十分で、CLOとともに課題の洗い出しから入り、サプライチェーン戦略そのものを組み立てる提案力が必要だとした。

「CLOとLPDがパートナーとなって本気でスクラムを組む」。その関係をつくることで、物流課題の解決だけでなく企業価値の向上につなげ、さらにフィジカルインターネットの構築を加速させるという考えだ。

物流効率化の目標に掲げられた積載効率の改善においても、物流の共同化は不可欠である。

まずは各社が自社の配送を見直し、積載率を高める。しかし個社内での改善はいずれ限界を迎える。その先では、荷姿や物量の繁閑差、重量などが異なる企業同士を組み合わせた共同配送、さらには業界を越えた共同化へ進むことが次の選択肢となる。個別企業のサプライチェーンから、複数企業がつながる「サプライチェーンネットワーク」への転換だ。

その連携を進めるための「共通の羅針盤」にJPICが位置付け、運用拡大を目指すのが、フィジカルインターネット成熟度モデル「PIMM」だ。

PIMMでは、物流プロセスを複数の構成要素に分け、標準化、オープン化、共同化、デジタル活用、エコシステム形成、人材育成などの観点から成熟度を評価する。自社や連携先が現在どの段階にあり、共同物流に向けて次に何を進めるべきかを共通言語化する狙いがある。

JPICは今年度、CLO協議会とPIMM普及を「両輪」として活動する。CLOとLPDが課題を共有し、PIMMで現在地と次の打ち手を確認しながら、中長期計画や具体的な共同物流の実装につなげていく構想だ。

特定事業者としての届け出を終え、今後CLO選任が進むことで、制度対応としての「CLOを置く」段階のスタートは切られた。ここから問われるのは、CLOが社内外にどのような仲間をつくり、個社だけでは解けない物流課題を誰と解決するかだ。10月末に迫る中長期計画の提出においても、その方向性を示すことが求められる。

今年度の第1回協議会は、CLO制度を「一社の物流改革」「机上の計画」に閉じず、ラウンドテーブルや交流会など実際に対話すること、新たな出会いを重ね、本音の議論を深めることで、フィジカルインターネット実現へつなげようとする場としてスタートした。(大津鉄也)

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