話題首都圏の物流拠点として存在感を高める外環道沿線。その特長は、東京都心への近さだけではない。
外環道からは常磐道、東北道、関越道などへ接続でき、首都圏配送と北関東・東北方面への広域配送を両立できる。圏央道や国道16号沿線よりも消費地側に拠点を置きながら、広域輸送網との接続を維持できることが強みだ。
東京建物ロジスティクス事業部リーシンググループ兼用地取得グループの坂田小春氏も、外環道を「都内向けの配送と広域配送の双方に対応できるため、幅広い商材を扱うことができる。また、実際のお客様の声からも、日雑品や高単価商材のラストワンマイル配送拠点やTC(通過型センター)、食品物流におけるセンター前センターなどの拠点としての強いニーズを感じており、物流施設立地としては最適なエリアの1つ」と捉える。

▲坂田小春氏
一方、物流施設に適したまとまった用地は限られる。同社では、リーシング部門が顧客との対話から把握した荷物の動きや立地ニーズを用地取得側へ共有し、独自のネットワークを通じて「T-LOGI八潮」、「T-LOGI八潮II」、「(仮称)川口物流施設PJ」の3つの物流用地を相対取引で確保した。
「リーシングをしていると、荷物の動きやお客様の声から外環道のニーズがあることが見えてくる。そのようなお客様の声を即座に用地取得側に共有することにより、実際の土地取得につなげられた。用地取得、物件開発、リーシング、管理運営、売却と全てのフェーズを一気通貫で行っていることが私たちの組織体制の強みであり、外環道エリアにおいて1、2年で3物件を取得できたところにも、一気通貫体制の良さが出ている」と坂田氏は話す。
3物件に共通するもう一つの特長が「一棟利用」だ。
大型マルチテナント型とは異なり、敷地、駐車場、セキュリティー、庫内レイアウトなどを自社の物流オペレーションに合わせやすい。比較的コンパクトな規模の施設を一社で使い切ることで、管理の自由度を高める狙いがある。
ただし、3施設の役割は同じではない。2027年にドライ型の「T-LOGI八潮」、29年には冷凍冷蔵型の「T-LOGI八潮II」、さらに同年に川口でも一棟型の冷凍冷蔵施設を計画する。

▲「T-LOGI八潮」「T-LOGI八潮II」周辺図(クリックで拡大、出所:東京建物)
背景にあるのは、物流施設に求められる機能そのものの多様化だ。
T-LOGI八潮、一棟を「配送拠点」として使い切る

▲「T-LOGI八潮」イメージ図(出所:東京建物)
3物件で最も早く竣工するのが「T-LOGI八潮」(埼玉県八潮市)だ。
首都高速道路・八潮南出入口まで3.3キロ・8分、常磐道・首都高速・三郷インターチェンジ(IC)まで4.1キロ・9分、外環道・草加ICまで6.2キロ・14分。都心配送と三郷JCTを経由した広域配送を使い分けられる。草加駅、八潮駅からバス通勤できることも、雇用を考えるうえでの強みとなる。
27年8月に竣工を予定。敷地面積は2390坪、延床面積は4550坪(予定)で、倉庫3層を主体とする。ボックス型ながら大型車16台分のバースを備え、垂直搬送機2基、荷物用エレベーター1基という機動力にも優れる。

▲「T-LOGI八潮」フロアプラン図(クリックで拡大、出所:東京建物)
「リーシングでは特に、大型車16台の車庫登録が可能なバース、搬送機3台を備えた高い搬送力を施設計画の段階から織り込んだ実務面での対応力の高さについて評価いただいている」(坂田氏)
首都圏配送では、センターそのものだけでなく、多数の配送車両をどこに置くかも課題として浮上することから、バースを車庫登録可能とする仕様とした。
「首都圏配送ではトラックを多く使用するため、車両の駐車場所を必要とする企業は少なくない。車庫登録が可能な仕様は、リーシング活動においても高く評価いただいているポイントの一つ」と坂田氏は説明する。
また、一棟利用であることから、大型マルチテナント型施設のように決められた車路や駐車区画に運用を合わせる必要がなく、自社の物流オペレーションに応じて柔軟な車両配置や動線計画を組むことができる。ドライバーの待機場所の確保や車両管理もしやすく、車両運用まで含めて自社仕様に最適化できる点は、一棟利用ならではのメリットだ。
働く人への配慮も盛り込む。4階には56坪、50席を想定するラウンジを設ける計画である。
「都心の多頻度な流通加工業務のニーズを見据えて、同規模の倉庫と比べても休憩室は広く取っている。従業員数の多いテナントにも使ってもらえる広さを用意した」とロジスティクス事業部事業グループ兼管理グループの長谷川遥平氏は語る。立地面での雇用のしやすさだけでなく、入居後の働く環境まで施設側で支える考えだ。
3PL、日用雑貨、メーカーの専用センターなどに加え、一棟利用によるセキュリティを重視する医薬品や精密機器なども想定する。
一棟を「倉庫」として借りるのではなく、車両、人、荷物まで含めた物流拠点として使い切れることが、T-LOGI八潮の狙いだ。

▲長谷川遥平氏
「持つ」から「借りる」へ、冷凍冷蔵にも新たな選択肢
続くT-LOGI八潮IIと川口は、冷凍冷蔵物流へ対応する。
共働き世帯の増加や時短ニーズ、外食産業の人手不足を背景に、冷凍食品の消費量は増加しており、食品ECやネットスーパーの普及により冷凍・冷蔵食品配送の需要は拡大を続けており、温度帯管理に対応した倉庫へのニーズが高まっている。また、冷凍食品や加工食品だけでなく、医薬品や精密機器など、温度管理を必要とする商材の需要も拡大している。
一方で、冷凍冷蔵倉庫は多額の設備投資と専門的なノウハウを要するため、利用企業にとって参入のハードルが高い。既存施設では老朽化や設備更新費の高騰、人材不足も課題となっている。
そこで選択肢として注目されているのが、冷凍冷蔵機能をあらかじめ備えた賃貸物流施設だ。
自社倉庫を新築したり、ドライ倉庫に冷凍冷蔵設備を後付けしたりする場合と比べて初期投資を抑えることができる。退去時に設備を撤去して原状回復する負担も軽減できる。また、賃貸であるため事業環境の変化に応じて拠点を柔軟に見直すことができるため、物流戦略の自由度を高められる。
さらに、事業環境の変化に応じて拠点を柔軟に見直せるため、物流戦略の自由度も高まる。こうした需要拡大を背景に、冷凍冷蔵倉庫の需要が高まっている。一方で、冷凍冷蔵倉庫は開発難易度が高く供給量が限られることから、市場では希少性が高まっている。
T-LOGIでは、屋上太陽光発電による電力の施設内利用によって、商用電力の使用量を抑えることで環境に配慮した持続可能な物流施設の実現に寄与している。また、温度設定を変更できる可変倉庫を設計段階で組み込んでいることもメリットとなる。冷凍倉庫、冷蔵倉庫温度固定の倉庫に加えて、可変倉庫も兼ね備えることで、食品需要の季節変動や取扱商材の変更、新たな荷主獲得による温度帯ニーズの変化にも、一棟の中で柔軟に対応できる。将来の需要変化を見据えながら運用できることは、単なるコストメリットを超えた大きな価値といえる。
東京建物は、BTS型冷凍施設として開発したT-LOGI本庄児玉を皮切りに、全国各所でマルチ型・BTS型の冷凍冷蔵倉庫の開発に着手している。
これまで培ったノウハウを生かし、T-LOGI八潮II、(仮称)川口物流施設PJ以外に、関東では「T-LOGI船橋南海神」、「T-LOGI白岡II」、「(仮称)新習志野駅前物流施設計画」、「T-LOGI柏・野田」、関西では「T-LOGI大阪弁天町」、「(仮称)大阪内陸物流施設PJ」、九州では「T-LOGI久山」、「T-LOGI久山II」――の計10物件の開発を進めている。
ただ、坂田氏は「T-LOGI一宮やT-LOGI福岡アイランドシティ、T-LOGI南船橋など、ドライ倉庫に冷凍冷蔵設備を後付けして運用する企業にも入居いただいている。土地の取得段階から冷凍冷蔵倉庫の強いニーズを見込み開発している案件に加え、リーシングを開始しお客様の声を聞く中で施設計画の見直しを行い、ドライ倉庫を想定していた大規模物件の低層階を小割のできる平屋貸の冷凍冷蔵区画とするケースもあり、エリアや顧客のニーズに合わせて施設を検討した結果として冷凍冷蔵案件が増えている」と説明する。
最近の需要変化をリーシング側で捉え、それを開発につなげている。外環道での開発もその一つである。冷凍冷蔵ありきではなく、需要から施設用途を決める姿勢を強調する。
八潮II、保管型にも通過型にも対応

▲「T-LOGI八潮II」イメージ図(出所:東京建物)
「T-LOGI八潮II」(埼玉県八潮市)は、「八潮」の近隣エリアに計画する一棟型冷凍冷蔵施設だ。
首都高速「八潮南」出入口まで3.9キロ・8分、三郷ICと外環道「草加」ICまではそれぞれ5.3キロ・11分。また、東武伊勢崎線・草加駅から徒歩20分で、草加駅とつくばエクスプレス・八潮駅からはバス利用も可能となる。
29年1月頃の竣工を予定。敷地面積2100坪、延床面積4400坪を予定する3層ボックス型で、倉庫床は3500坪を計画する。最新計画では、垂直搬送機3基と荷物用エレベーター1基を備えており、高い搬送力を完備している。
最大の特長は、冷凍・冷蔵に温度を固定せず、幅広い用途に応えることだ。
1階には荷捌きエリアを想定したプラス5度の低温倉庫区画を広く確保し、一部にマイナス25度からプラス5度まで変更できる可変倉庫を配置。2、3階には作業のための低温倉庫に加え、保管を考慮した可変倉庫・冷凍倉庫を組み合わせる。扱う商品や荷主、季節によって必要な温度帯が変わっても、一棟の中で対応できる余地を残した。これまでBTS型冷凍冷蔵倉庫開発で培った知見を、冷凍冷蔵施設利用者が賃貸で使いやすい仕様として形にした。
もう一つ重視したのが「動かす能力」である。
1階には4トン車、10トン車を合わせて20台規模のバースを計画。3層に対して4基の垂直搬送設備を確保することで、大量の商品を在庫するDC(在庫型センター)だけでなく、複数車両を受け入れて短時間で仕分け、出荷するTC(通過型センター)としての使い方も視野に入れる。
こうした仕様は、開発側だけで決めたものではない。
長谷川氏は、東京建物の開発体制について「リーシングや、竣工後の施設を担当する管理グループからお客様の実際の声やニーズがすぐ入ってくる。現状のニーズからかけ離れず、ニーズに即した建物をつくれている」と話す。
コストだけを優先すれば、顧客の実際の使い方から離れた建物になりかねない。だからこそ、営業段階で把握したニーズや、既存施設で入居企業から得た意見を、計画段階へ戻す。
「リーシングや管理側が情報を取ってきてくれるので、実際のニーズからかけ離れず、ニーズに即した建物をつくれていると思います」
長谷川氏の言葉は、T-LOGI八潮IIの可変温度帯や搬送設備にも通じる考え方だ。
川口は、さらに都市配送側へ
川口市で計画する「(仮称)川口物流施設PJ」も、一棟型の冷凍冷蔵施設だ。
外環道内側で、首都高速川口線や日暮里・舎人ライナーの見沼代親水公園駅に近く、東京都足立区への近接性を生かした都市配送拠点としての活用を想定する。前の2物件よりさらに都心に近い立地で、東京都足立区や北区とはダイレクトにつながる。
敷地面積2000坪、延床面積3500坪(予定)の3層ボックス型で、29年秋頃の竣工を予定する。BTSによる仕様変更にも対応を検討する。ややコンパクトな施設ながら建屋の2面にL字型にバースを配置し、スピーディーな車両運用にも使える設計とする。
固定の冷凍・冷蔵区画と可変温度帯を組み合わせ、配送拠点として4トン車を主体としたバースを確保する計画。庫内を整形とすることで、都市配送に適した効率的なレイアウトを組みやすくする。
「どれを借りるか」から「どう組み合わせるか」へ
T-LOGI八潮、八潮II、そして川口。
3施設に共通するのは、都心に近い外環道内側で、一棟を自社の物流に合わせて使えること運用の自由度の高さだ。
一方で、選ぶ基準は異なる。
ドライか冷凍冷蔵か。どの温度帯が必要なのか。大量に在庫するのか、短時間で商品を通過させるのか。広域配送を重視するのか、都心への高頻度配送を重視するのか。
取扱商材、温度帯、センターの運用形態、配送エリアから逆算すれば、それぞれの役割が見えてくる。
さらに選択肢は「3施設から一つを選ぶ」だけではない。
八潮と八潮IIは近距離にあり、ドライと冷凍冷蔵を別拠点で運用しながら横持ちすることも想定できる。荷主ごと、商材ごとにセンターを分けたり、在庫型と通過型で役割を分担したりすることも可能だ。
坂田氏が顧客との接点から「何が求められているか」を捉え、その声を長谷川氏ら開発・管理側が「どんな建物にするか」へ落とし込む。
東京建物が強みとするのは、この距離の近さだ。
長谷川氏は「実需をすぐ用地取得側や開発側に反映して、ニーズをつかめるところがわれわれの強み」と語る。
物流施設を選ぶことは、建物を選ぶことではない。
どこに在庫を置き、どこで仕分け、どの車両で、どの消費地へ届けるのか。その物流を先に描き、必要な施設を選び、時には組み合わせる。
外環道で展開する3つのT-LOGIは、市場のニーズを施設へ落とし込みながら、物流戦略に合わせて「選び、組み合わせる」拠点をつくるという、東京建物の開発姿勢を具体化したものといえる。

「T-LOGI八潮」
工期:着工 2026年6月、竣工 2027年8月(予定)
所在地:埼玉県八潮市伊草一丁目1-3外(地番)
交通:首都高速道路「八潮南」出入口 3.3キロ、常磐自動車道・首都高速道路「三郷」IC 4.1キロ
敷地面積:7887平方メートル(2385坪)
延床面積:1万5261平方メートル(4616坪)
規模:4層ボックス型(1階片側バース・倉庫3層)
ドッグレベラー:2基
垂直搬送機:2基
荷物用エレベーター:1基(積載荷重3.5トン)
バース数:16台
普通駐車場:40台(軽自動車専用を含む)
アメニティ:従業員向けラウンジ(4階)
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「T-LOGI八潮II」
工期:着工 2027年6月、竣工 2029年1月(予定)
所在地:埼玉県八潮市大字南後谷字粒田北200番6外(地番)
交通:首都高速道路「八潮南」出入口 3.9キロ、常磐自動車道・首都高速道路「三郷」IC 5.3キロ、東京外環自動車道「草加」IC 5.3キロ
敷地面積:約7000平方メートル(約2100坪)
延床面積:約14700平方メートル(約4400坪)
規模:4層ボックス型
垂直搬送機:3基
荷物用エレベーター:1基
バース数:21台
アメニティ:従業員向けラウンジ(3階)
庫内仕様の特長:2・3階に冷凍区画(-25度)および温度可変倉庫(-25度〜5度)を実装、1階に21台のドックシェルターや冷蔵区画(5度)を整備予定
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