調査・データ東京商工リサーチ(TSR、東京都千代田区)は6日、出版業の倒産動向と、出版社・書店による直取引拡大の動きをまとめた。2026年1−7月の出版業の倒産は21件で、前年同期比90.9%増。19年同期以来7年ぶりに20件を超えた。売上高は横ばい圏で推移する一方、比較可能な648社の最終利益は21年度の1127億円から25年度には655億円へ減少し、4期で41.8%落ち込んだ。
紙の価格や製本費の上昇に加え、電子書籍への需要移行が出版社の採算を圧迫している。取次側でも燃料費や人件費の上昇による輸送コスト増が重荷となり、物流拠点の再編や業界内連携による効率化を進めている。ただ、コスト削減だけでは上昇分を吸収しきれず、出版社への輸送費負担増を求める動きも出ている。
こうしたなか、出版社と書店が取次を介さずに取引する仕組みが広がり始めた。ブックセラーズ&カンパニー(BS&Co.)と書店運営企業など15社は6月、書籍流通の合理化に向けた共同声明を発表。高利益商材やロングセラーを中心とした直取引拡大、販促連携、仕入れ・販売・在庫データを分析する共通基盤の整備、書店主体の物流合理化などを掲げた。
28年3月までに、参加書店の平均返品率を20%へ引き下げ、書籍仕入れの5割を直仕入れに切り替え、書籍販売の粗利率30%を目指す。一方、直取引では受発注、請求、在庫管理、物流などを出版社や書店側が担う必要があり、業務負担の増加が課題となる。BS&Co.には取次大手の日本出版販売も出資しており、取次が持つシステムや物流ノウハウを活用しながら、新たな流通モデルを構築する動きが進んでいる。
特に小規模出版社では、多数の書店との直接取引に伴う受注・出荷・請求・物流の負担が相対的に重い。共通の受発注基盤や物流インフラを整備し、規模を問わず参加できる仕組みを作れるか。返品や過剰在庫、物流コストを減らしつつ、出版社、取次、書店の収益性をどう両立させるかが、出版流通改革の成否を左右しそうだ。
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