M&A丸紅は14日、デジタルトランスフォーメーション(DX)化を通じた出版流通改革に取り組む新会社の年内設立に向け、講談社、集英社、小学館の出版大手3社と協議を開始する、と発表した。
出版市場は2020年に1兆6168億円と2年連続で前年実績を超えたが、「複数の構造的な課題」を抱え、改善が急務となっている。そこで丸紅は、出版3社を含む出版業界と長年にわたって取引し、ほかの業界でサプライチェーン改革を手がけた経緯から、出版3社からの要請を受ける形で新会社に向けた取り組みを開始。
新会社では、AIを活用した業務効率化事業とRFIDの活用事業を立ち上げ、出版業界の課題解決とともに、書籍・雑誌の配送量最適化による環境負荷の軽減、返品率の改善による資源ロスの削減を進める。
具体的には、書籍・雑誌の流通情報の流れを網羅的に把握し、AIを活用した配本・発行によって出版流通全体の最適化を図り、返本に伴う経済的損失の軽減につなげる。
また、ICタグに埋め込まれた情報を用い、在庫や販売条件の管理、棚卸の効率化や売り場の書籍推奨サービス、万引き防止といった幅広い用途に活用できるシステムを構築・運用することも検討する。