ロジスティクス大和ハウス工業は11日、2026年の基準地価公表を前に記者向けレクチャー会を開き、分譲マンション、戸建分譲住宅、物流施設の市場動向と事業展開を説明した。
物流施設事業について説明したビジネス・ソリューション本部事業統括部ロジスティクス推進室開発グループの藤田渉グループ長は、建築費の高止まりや建設業界の人手不足が続くなかでも、先行取得した開発用地で建設会社を確保し、施設開発が順調に進んでいると説明した。2026年3月末時点の累計開発敷地面積は2000万平方メートルを超え、総開発棟数は432棟、総開発延床面積は1588万4387平方メートルとなった。

▲藤田渉氏
足元の物流不動産市場については、首都圏の大型マルチテナント型物流施設では26年第2四半期の空室率が7.8%と、前期から1.4ポイント低下したとの民間調査会社の調査結果を引用。8%を下回るのは22年第4四半期以来で、実質賃料も坪当たり4600円と前年同期比1.5%上昇し、東京ベイエリアや外環道エリアなど都心に近い地域で上昇が目立っていると市況を解説した。
藤田氏は、過去1年ほど需要が供給を上回る状況が続いていると説明。供給減は想定していた一方、需要は予想以上に底堅く、「思ったよりさらに堅調」との認識を示した。26年は一時的な竣工の増加はあるものの、年間を通じてみれば供給は落ち着いた水準で推移するとみている。
こうした需要は、大和ハウスの契約実績にも表れている。26年4月から9月末までの半年間は、9月中の契約予定分を含め19件、23万9508平方メートルの契約を見込む。小区画からフロア単位、一棟利用まで契約規模は幅広い。
テナントの顔ぶれにも変化がある。これまで需要をけん引してきたECやアパレル、半導体関連に加え、今期は飲食料品、メーカーの自社物流、卸売、小売などへ裾野が拡大した。藤田氏は、この背景について物流関連法改正を受けた「荷主企業の意識がかなり強くなっている」と指摘した。
施設選びも、単純な賃料比較から変わりつつあるという。
藤田氏は改正物流効率化法を機に「賃料が安ければどこでもいいというよりは、荷主の物流計画、ロジスティクス全般の改善に資するような施設を借りる必要がある」と説明。多少賃料が高くても、従業員の就労環境を改善する空調設備や、商品を守るための温度管理設備などを追加する需要が増えているとした。テナント側による持ち込み工事や、大和ハウス側が空調などを追加整備して入居するケースも増加しているという。
同社は今後も、市況に応じた安定供給を続ける。26年10月から27年9月までに11棟、計44万604平方メートルの竣工を予定する。藤田氏は、需要局面で一気に供給量を増減させるのではなく、年間10棟から20棟程度を継続的に供給していく考えを示した。
また物流施設関連のトピックとして、物流拠点としての埼玉県における開発状況も紹介した。大和ハウスは同県について、関越道、東北道、圏央道、外環道による道路ネットワークに加え、自治体の企業誘致、内陸立地による津波リスクの低さと、豊富な人口を背景とした人材確保力を挙げた。
藤田氏は、輸送効率やBCP、雇用など複数条件を総合的に評価する企業が増えるなか、「全て満遍なく丸がつく」埼玉の強み、バランスの良さが需要につながっているとの見方を示した。
同県では「DPL川越」を27年1月、「DPL埼玉深谷」を同年3月末に竣工する予定。同じく12月末には延床面積12万7000平方メートル以上と埼玉北東部最大級の「DPL加須」の竣工を予定する。

▲「DPL加須」イメージ(出所:大和ハウス工業)
さらに、物流施設開発の役割を、単なる倉庫供給から地域インフラへ広げる取り組みも紹介した。
滋賀県米原市では、県や市、関西電力などとNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素社会モデル構築高度化技術開発・実証事業」に参画。「伊吹PA」周辺で、水素、中継物流、地域産業を組み合わせた次世代物流拠点の検討を進める。

▲「伊吹PA」周辺の次世代物流拠点構想イメージ(出所:大和ハウス工業)
大和ハウスは中継物流拠点を含む土地利用や施設配置、レイアウトなどを検討する役割を担う。水素ステーションなどとの連携も視野に、水素需要の創出やCO2削減、地域経済の活性化につなげる考えだ。
藤田氏は、物流デベロッパーには今後、国や自治体との連携、地域活性化や防災、交通インフラの活用、働く人に配慮した施設づくりなどが求められるとの認識を示した。物流施設需要が回復するなかで、「どこに、どれだけ建てるか」に加え、「物流や地域の課題をどう解決する施設にするか」にも注力する姿勢である。
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