国際パナマ運河庁(ACP)は、強いエルニーニョ現象の長期化を見据え、水使用量の抑制から船舶の喫水、1日当たりの通航枠まで段階的に制限を強めている。11日にはスミソニアン熱帯研究所などと今後の影響を検討し、雨期後半の降水不足が続けば、2027年の運河運用への影響も視野に水位監視を続ける方針を示した。
ACPは25年末から、閘門で使う水の節約策を先行して導入した。船型に応じて2隻を同時に通航させる運用や、ネオパナマックス閘門の節水槽、船の長さに応じた内部ゲートの活用などを進め、ガトゥン水力発電も一時停止して貯水を優先した。25年の豊富な降雨と26年乾期の異例の多雨を利用し、ガトゥン湖とアルハフエラ湖の貯水量確保も進めた。
ただ、雨期に入ってから降水量が想定を下回り、対応は船舶側の制限へ広がった。7月3日からネオパナマックス船の最大許容喫水を15.09メートルとし、その後14.63メートルまで段階的に引き下げた。14.48メートルへの追加引き下げも予定していたが、ガトゥン湖の水位や最新の気象予測を踏まえて延期し、現時点では14.63メートルを維持している。

(出所:パナマ運河庁)
通航量にも制限が及んだ。9月3日からネオパナマックス閘門9枠、パナマックス閘門25枠の計34枠とし、15日からはパナマックスを23枠に減らして計32枠とする。通航隻数を減らす措置は運河史上2度目とされ、予約なしで到着する船舶では待機時間が延びる可能性がある。限られた枠を配分するため、予約制度や日次オークションの運用も調整している。
背景にはエルニーニョの急速な強まりがある。ACPによると、深刻なエルニーニョ発生の確率は4月の25%から7月には81%へ上昇。さらに気象当局は、11月後半から乾期入りが早まる可能性を指摘している。例年11月は運河流域で最も雨量が多く、乾期に備えて湖を満たす重要な時期だけに、今後の降雨量が27年の通航能力を左右する。
短期的な節水と通航制限に加え、ACPは水不足への構造的な対策としてリオ・インディオ湖計画も進める。新たな貯水能力を確保し、運河運営と国民への飲料水供給を長期的に安定させる構想で、27年の設計・建設入札に向けて環境調査や住民移転の準備を進めている。23―24年の渇水時に大幅な通航制限を余儀なくされた経験を踏まえ、今回は貯水量の確保や節水策を進めたうえで、喫水制限や通航枠削減へと対策を広げ、長期化する水不足への対応を図っている。
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