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段ボール革新に学ぶ効率化の新視点

2026年9月17日 (木)

ロジスティクスジャパネットウォーター(山梨県山中湖村)と王子コンテナー(東京都中央区)が共同開発したウォーターサーバー用段ボール、SBS東芝ロジスティクス(新宿区)の梱包仕様が、「2026日本パッケージングコンテスト」でそれぞれ受賞したと発表された。梱包・包装資材の設計段階から物流効率を織り込む「デザイン・フォー・ロジスティクス」(DFL)という発想を体現した事例だ。改正物流効率化法に基づく特定荷主の中長期計画提出期限が10月末に迫るなか、両社の事例はDFLという領域を再考する好機を与えている。(編集委員・刈屋大輔)

相次ぐ包装革新の受賞

ジャパネットウォーターの新型段ボールは、前面が上下に裂けて天面まで開く新構造を採用し、箱を持ち上げずに取り出せるようにした。ポリエチレン製資材を全廃したことで資材費は従来比33%削減に成功。SBS東芝ロジスティクスも、バールを使わない嵌め込み式梱包で開梱時間を80%短縮、木材使用量を26%削減したほか、薄型ガラスパネル向けのトレイでは、これまで用途ごとに分かれていた包材を1種類にまとめ、輸送から保管、製造まで一貫して使えるようにした。作業性と省資材化を両立させた点が共通する。

▲ジャパネットウォーターの新型段ボール(出所:ジャパネットたかた)

海外と国内に見るDFL事例

DFLは、米スタンフォード大学のハウ・リー教授が提唱したとされる概念で、経済的な梱包・輸送、工程の並行処理、標準化を柱とする。製品が完成してから運び方を考えるのではなく、企画・設計段階から輸送効率や保管効率を織り込む発想への転換を意味する。

海外では、家具量販のイケアが好例だ。同社公式の企業史によれば、通信販売での家具の輸送コストや破損の多さに悩んでいた創業者が、サプライヤーが実演したフラットパック式テーブルをヒントに、分解輸送・現地組み立てという発想を採用したことが出発点となった。

国内でも先行する動きがある。日清製粉ウェルナは2023年8月から、冷凍食品の物流でパレット活用を進めるため、家庭用・業務用計200品目のパッケージサイズを順次見直した。段ボールサイズが不ぞろいでバラ積みが基本だったことによる積み下ろし作業(計4時間程度)の課題を解消するのが狙いだった。商品の中身や調理時間はそのままに、外装の厚みをミリ単位で削るなど地道な調整を重ね、プラスチック使用量を13%減らした。1パレット当たりの積載効率は1.5倍に高まり、ドライバーの積み下ろし時間も半分以下に短縮できたという。

▲製品・段ボールのサイズ見直しと効果(クリックで拡大、出所:日清製粉ウェルナ)

環境配慮とCLOの役割

こうした取り組みは、輸送効率の改善にとどまらず、資材使用量や廃棄物の削減を通じて環境負荷の低減にも直結する。消費者庁が普及を図る「エシカル消費」という言葉が示す通り、環境に配慮した商品を選ぶ消費者の意識は世界的に広がりつつある。

企業の側でも、ユニリーバやネスレ、ウォルマートなど1200以上の企業・団体が署名するエレン・マッカーサー財団の「Global Commitment」のように、包装を100%リユース・リサイクル可能にすると公に約束する動きが出てきた。同財団の最新報告書では、多くの署名企業が2025年目標の達成に届かない見通しであることも示されており、掲げた目標と実態のギャップは小さくないが、環境配慮を製品設計・調達の前提とする流れそのものは強まっている。

DFLは物流部門だけで完結しない。製品の形状や梱包仕様は生産・製造・開発・マーケティングといった他部門の判断と絡み合っており、日清製粉ウェルナの事例でも、技術部門が仕様の方向性を検討し、生産現場が品質面を検証したうえで、企画部門が社内外の調整に当たるなど、複数部門が連携する体制が取られていた。

中長期計画には、共同配送や中継輸送、モーダルシフトといった施策の記載が中心になるとみられるが、こうした取り組みをすでに一巡させ、新たに盛り込むネタが尽きたと頭を抱える物流担当者は少なくない。物流部門単独では完結しないDFLという領域にこそ、次の一手が残されているのではないか。組織の壁を越えてこの改革を主導できるかどうかは、まさに物流統括管理者(CLO)の手腕が問われる局面だといえるだろう。

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