ロジスティクスフィジカルインターネットセンター(JPIC)は21日、野村不動産のマルチテナント倉庫「Landport習志野」内に設置された「Techrum PoC Hub(テクラムPoCハブ)」で講演会・Techrum PoC Hub見学会を行った。

「Techrum」は、野村不動産が主導する企業間共創型の物流課題解決プラットフォーム。物流現場における人手不足や「2024年問題」を背景に自動化・省人化ニーズが急増する一方、「どの機器を選べばよいかわからない」「複数メーカーとの個別調整が難しい」といった荷主・物流事業者の課題を解消するために立ち上げられたもの。
Techrumの最大の特徴は、単一メーカーの枠組みにとらわれず、ハードウエア、ソフトウエア、ファイナンスなど多彩な領域のパートナー企業が集結している点にある。今回会場となったLandport習志野内の「Techrum PoC Hub」は、実際の倉庫環境を再現した常設実証拠点であり、各社の機器をシームレスに連動させた「一連の物流プロセスの実機デモ」を体感・検証できる場として機能している。

▲JPIC事務局長の奥住智洋氏
講演会の冒頭、JPIC事務局長の奥住智洋氏が登壇。改正物流効率化法の施行に伴い荷主企業のCLO(物流統括管理者)選任が進むなか、JPICでは「CLOとLPD(ロジスティクス・プロデューサー)の連携」を強く提唱している。奥住氏は、法令順守にとどまらず企業価値向上とサプライチェーン改革を一体で推進するためには、経営層の意識改革や物理・デジタル双方の標準化、持続可能なビジネスモデルの構築が欠かせないと訴えた。
続いて、Techrumの歩みと支援体制の解説や、Techrum参画企業によるソリューション説明が行われた後、見学会が行われた。

▲バースのパレットを自動的に積載する、ナカオ工業(和歌山県広川町)のオートフロアのデモの様子
見学会では、参加者が実際の物流プロセスに沿った、バースでの荷物の搬出入から始まり、保管、仕分け、超小物の完全自動化ライン、ピッキングおよび梱包・開梱(不定形荷物・重量物対応)、そして現場環境改善に至る一連のステップ順に移動しながら、最新の自動化ソリューションのデモを体感した。
単一メーカーの製品にとどまらず、多様なメーカーやベンダーのソリューションを一堂に集めて比較検討でき、それらがシームレスに連携して稼働する様子を目の当たりにできる点がTechrumの最大の強み。JPIC会員らは、実際のモノの流れと連携の様子を体感することで、自社への導入イメージや効果をより具体的かつ現実的に捉える機会を得た。

▲タクテック(東京都文京区)のプロジェクションピッキングシステムのデモの様子。ピッキングのみならず、各社から展示されている仕分けシステムなど、スポットワーカーでも現場に入ったその日から仕事ができるシステムは注目を集めた。プロジェクション方式のほか、音声での指示にオペレーターが声を出して確認を取るものなど、マテハンの最前線では多様なシステムの実走が進んでいる
フィジカルインターネットは、インターネットにおけるデータ通信の仕組みを物理的な物流に応用し、インフラやデータを共有・標準化することで効率的な物流網を実現する構想を指すもの。この世界観においては、荷物がネットワーク上をデータのようにスムーズかつ自動的に流れていく環境を構築することが重要となる。参加したJPIC会員からは、「多様な機器やソリューションのシームレスな組み合わせによって自動化・省人化が進むことで、倉庫内でモノがどのように最適に流れていくのかを身をもって体感できた」といった声があった。
見学会後の情報交換では、参加者の切実な課題意識と自動化ニーズの広がりが浮き彫りとなった。ある物流事業者の担当者は「輸送を主力としてきたが、新たに立ち上げた倉庫事業では人手への依存度が高い。2024年問題を見据え、立地の利便性を生かした中継拠点の自動化・省人化に向けた情報収集として参加した」と語った。

▲千代田組(東京都港区)の自動搬送機サウザーのデモの様子。RFIDを組み合わせて夜間に棚卸しを行うことも出来る
主催者側によると、かつて自動化ソリューションの導入は大企業が中心と見られていたが、近年は小型機器やサブスクリプション型サービス(RaaS)の普及に伴い、地方のEC(電子商取引)事業者など中小規模の現場からも問い合わせが急増しているという。
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