財務・人事三菱HCキャピタルは21日、都内でメディア向け事業説明会を開催し、中核を担うロジスティクス、不動産事業の最新動向と今後の成長戦略を明らかにした。グローバル市場では海上コンテナリースにおいて過去最大となる2000億円超の投資を見込むほか、国内の物流不動産事業では、冷凍冷蔵倉庫や危険物倉庫、ロボット技術を活用した自動化設備の提供など高付加価値化へ舵を切る。
同社はことし4月、モビリティ事業をロジスティクス事業本部に統合し、国内外の物流インフラと車両を一体的に展開する新体制へ移行した。同事業本部の資産残高は1兆4000億円規模に上る。
質疑応答でロジスティクス事業本部長の前川敏章氏は、400万TEUを保有し世界第4位のシェアを持つ海上コンテナリース(米CAIインターナショナル)の投資動向に言及。「中国発の輸出が拡大しており、5月後半以降、コンテナ需要が大きく増加している」と述べ、9月末までに1900億円の新造コンテナ投資を実施したことを明らかにした。通期では過去最大規模となる2000億円超を見込む。金額ベースでの投資割合はドライコンテナが90%、リーファー(冷凍冷蔵)コンテナが10%。

▲三菱HCキャピタル常務執行役員ロジスティクス事業本部長の前川敏章氏
世界的なコンテナ製造の中国集中に対する調達先分散の可能性について問われると、前川氏は「世界の製造の98%が中国に集中している」とした上で、「ベトナムやインドでの製造拡大の動きは認識しているが、中国発の輸出の多さと価格競争力を踏まえ、現時点では調達先を分散する考えはない」とした。また、契約満了後のコンテナについても、8割が倉庫や住宅など陸上用途で再利用されており、サーキュラーエコノミー(循環型経済)への貢献につなげているという。
一方、不動産事業では、センターポイント・ディベロップメント(CPD、東京都千代田区)を通じた物流施設の開発や投資が主力の一つとなっている。不動産事業本部長の岡本勝治氏は、昨今の建築費上昇による新規供給の制約について触れ、今後の物流施設投資における3つの手法を提示した。
具体的には、通常のドライ倉庫に比べて収益性が高い「冷凍冷蔵倉庫や危険物倉庫などの高付加価値物件への投資」、既存物件の機能向上を図る「バリューアップ」、および金利上昇に伴うREIT市場の停滞を受け、デベロッパーがREIT(不動産投資信託)に組み入れるまで施設を保有して支援する「ブリッジ投資」に注力する方針だ。

▲常務執行役員不動産事業本部長の岡本勝治氏
さらに、新たな付加価値の創出として、自動化ソフトウエア開発のMujin(ムジン、江東区)など外部パートナーとの協業を強化する。岡本氏は「単に物流施設の床を貸すだけでなく、自動化設備を付加した賃貸を行うことで、運営部分の付加価値収益を得る」と述べ、人手不足に悩むテナント企業の省人化ニーズに直接応える施設づくりを進める。
同社は2028年度までの中期経営計画において、自己資本利益率(ROE)10%の達成を最重要指標に掲げている。経営企画本部長の竹内和彦氏は、目標達成に向けて「低収益資産の圧縮と、高収益事業への投資を加速する」と強調。インオーガニック(M&Aなど)投資に1兆円を振り向ける一方、事業ポートフォリオ変革会議を通じて既存事業からの撤退や売却を検討し、総資産を拡大させずに資本効率を高める。

▲専務執行役員経営企画本部長の竹内和彦氏
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