財務・人事ヤマトホールディングス(HD)が4日発表した2027年3月期第2四半期連結決算は、売上高が前年同期並の9068億5400万円、営業損益が17億4900万円の赤字(前年同期は37億8200万円の赤字)、最終損益が105億6200万円の赤字(同48億8700万円の赤字)となった。適正運賃の収受やオペレーション効率化により本業の営業赤字幅は大幅に縮小し、第2四半期単体では営業黒字転換を果たしたものの、子会社売却に伴う特別損失の計上が響き、最終赤字は拡大する着地となった。
なお、通期業績予想については、大口法人を中心に荷動きの伸び悩みが継続する見通しを踏まえ、売上高を期首予想の1兆9180億円から230億円引き下げ、1兆8950億円(前期比1.6%増)へ下方修正した。一方で、各段階利益の見通しは、営業利益は420億円(同48.4%増)、最終利益は160億円(17.1%増)と据え置いた。
同日にオンラインで開催された決算説明会で、同社専務執行役員CFOの野村優氏は当期の業績について「外部環境にさまざまな変化があるなかで、適正運賃の収受、人的投資の実行、そして業務量に合わせてコストをコントロールできる体質作りという3点が有言実行できた」と総括した。
営業損益が前年同期からおよそ20億円改善した要因については、物価上昇や人的投資によるコスト増、新拠点立ち上げなどの先行投資、取扱数量減少による影響といった下押し要因があったものの、前期から継続しているプライシング適正化による増益効果がこれを大きくカバーしたと説明。
主力のエクスプレス事業においては、物価高による個人消費の停滞や大口法人の荷動き鈍化、さらに台風や地震などの自然災害による影響を受け、「宅急便・宅急便コンパクト・EAZY」の取扱数量は前年同期比3.9%減となった。しかし、単価上昇とオペレーションの効率化によってコスト増を吸収し、同事業の営業赤字は161億1700万円(前年同期は167億6700万円の赤字)へと改善している。
通期売上高予想を下方修正する一方で、営業利益、最終利益の目標は据え置いたことについて野村氏は「単価を下げて取扱量を追わず、採算を重視したプライシングを堅持する。売上高が下がったとしても、筋肉質になったコスト構造によって利益を出せる体質が維持できている」と強調した。
コスト削減をけん引しているのが、現場オペレーションの抜本的な見直しだ。ラストマイル領域では、セールスドライバーの1日あたり配達個数を増やすなどの集配効率化により、年間で300億円規模のキャパシティを創出したという。下期は曜日ごとの波動に応じた人員配置を徹底し、さらなるコスト削減を進める。
また輸送領域では、リアルタイムデータを活用したAIによる「一元配車」の概念実証(PoC)を首都圏で実施し、成功モデルを確立。下期以降はこれを全国の他地域へ展開していく。
まもなく迎えるブラックフライデーや年末年始の繁忙期において、物流業界では荷量急増による配送遅延などの混乱(パンク)が懸念されるが、同社はデータに基づく綿密な需要予測と臨機応変なリソース配置により「安定配送と計画利益の達成を両立できる」と自信をみせた。
経営戦略上の大きな決断として、中長期的な企業価値向上に向けた事業構造見直しの一環で、国内線貨物専用機(フレイター)の運航を2027年6月をめどに運航を終了することを決定した。撤退の理由について同社は、円安や燃油高など外部環境が想定から大きく変化し、ROIC(投下資本利益率)経営の観点から経営資源の再配分が適切であると判断したためと説明。現時点で多額の特別損失は想定しておらず、運航終了後は別モードの輸送手段を組み合わせてサービスを継続する。
また、事業ポートフォリオ見直しに伴い、ヤマトクレジットファイナンス(現Nクレジットファイナンス)の全株式を譲渡。これにより特別損失として関係会社株式売却損80億8700万円を計上し最終赤字拡大の要因となったものの、バランスシート上は600億円の資産・負債が圧縮(オフバランス化)された。創出した財務余力は、コア事業への投資や株主還元の拡充に振り向けるなど、アセットライト経営を加速させる。
法人向けビジネス(コントラクト・ロジスティクス事業)は好調に推移しており、売上高は3.5%増の823億5100万円、営業利益は38.6%増の35億3200万円となった。今後は半導体など利益率の高い成長領域の開拓にも注力する。
また、米投資ファンドのファラロン・キャピタル・マネジメントが同社株式を5%超保有し、経営陣の刷新などを求めていることについて問われると、特定株主からの個別提案への言及は控えるとして回答を避けた。
さらに、クロネコ代金後払いサービスで発生した情報漏えい事案については、クレジットカード情報やパスワードの漏えいはなく、二次被害も確認されていないと報告した。システムの脆弱性修正と安全性の再検証を終えてサービスは既に再開しており、決算への重大な影響はないとしている。
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