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NEC、量子コンピューティングで配送効率を向上

2022年2月17日 (木)

荷主NECは16日、主にICT機器の保守サービスを提供しているグループ会社のNECフィールディング(東京都港区)の保守部品の配送効率向上を目指し、量子コンピューティング技術を活用した実証実験を始めたと発表した。

機器故障の発生によりカスタマーエンジニア(CE)が現場で保守作業を行う際、出動計画に沿った保守部品の配送計画の立案に量子コンピューティング技術を活用する。首都圏での部品配送について過去のデータをもとに試算した結果、配送車削減や距離の短縮化などにより配送コストを3割程度削減できることを確認。今後の現場適用に向けて検証を進めていく。

▲保守部品を積み込みパーツセンターに待機している配送車(出所:NEC)

NECフィールディングは、ICT機器や非ICT機器に故障が発生した際、CEが拠点から現場に出向いて保守作業を行うサービスを提供。首都圏で一日に発生する保守作業は数百件にのぼり、CEのスキルや到着時間をもとに作成した出動計画に沿って、交通事情を加味しながらパーツセンターから部品を配送している。緊急対応や定期保守、時間指定への対応など多様なオーダーが存在するほか、配送エリアや部品の種類・サイズ、トラック・バイクなどの配送手段の組み合わせが膨大になり、限られた人員での効率的な配送計画の立案が課題だ。

NECとNECフィールディングによる量子コンピューティング技術を活用した実証実験は、大規模な組み合わせ問題の超高速処理を実現する独自のサービスを活用。配送効率の向上によるコストの削減とCO2削減、配送計画の立案の属人化解消などを目指す。ことし2月に現場での一部保守サービスに適用して実証実験を開始し、2023年度の本格導入に向けて配送計画の精度向上と運用面の検証を進める。

(イメージ)

複雑化する社会課題に対し、これまで解けなかった問題の高速での解決が期待される量子コンピューティングへの注目が高まっている。NECは、生産計画の最適化や金融領域における機械学習の精度向上など多様なユースケースの開発に取り組む。今回の実証実験を契機として、企業や大学による量子コンピューティングの利活用を推進し、社会課題の解決に貢献していく。