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東京での物流施設供給は峠越す、C&W上半期レポ

2024年8月29日 (木)

調査・データ不動産開発のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W、東京都千代田区)は23日、不動産市場レポート「マーケットビート」の2024年上半期(1-6月)版を公表した。日本の物流施設については、工事原価の上昇もあり、東京での供給量は峠を越し、減少傾向となっている。

レポートによると、24年上期は前期に引き続いて、東京圏で郊外の大型施設を中心に施設の完成が続いており、年間230万平方メートルの新規の供給があった。そのほかの都市圏では、大阪圏は同60万平方メートル、名古屋圏では同90万平方メートルを超える供給があった。

完成した物件のなかでは、東京圏の都市型物流案件が目立ち、東京内陸ではラサール不動産投資顧問によるロジポート多摩瑞穂(延床面積16万2000平方メートル)、大和ハウス工業によるDPL青梅(同13万8000平方メートル)など大型施設の完成が相次いだ。地方都市では東急不動産と東京建物、西日本新聞社によるT-LOGI福岡アイランドシティ(同14万8000平方メートル)など新たな合弁事業も目立った。

今後2年間の新規供給計画を見ると、東京圏で年間170万平方メートル、大阪圏では同110万平方メートル、名古屋圏では同30万平方メートルが見込まれる。しかし、19年から工事原価が3割上昇していることから、東京圏での供給は既にピークアウトしている。

物流施設の需要をけん引する電子商取引(EC)市場は、16年以降3倍近い規模まで拡大し、近年は大型マルチテナント型物流施設が不足していた九州地域で施設の供給量が伸びている。1人当たりのEC利用金額は、関東で1万518円なのに対して、近畿は8177円、東海が7163円、九州が6258円となっており、関東以外の地域では成長の余地が大きい。このため、同社は実質個人消費がややマイナスで推移するなかでも、都市型物流施設のコスト削減効果によって、消費者需要の拡大は期待できるとしている。

また、24年上期の投資動向は、コスト上昇による開発マージンの縮小やインフレ率を下回る予想賃料の伸び、安定した不動産価格の推移などを理由にした企業グループ内での売却が続いた。今後、金利上昇に伴う資金調達環境の悪化も予想されることから、投資には慎重な状況が続くとみられる。

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LOGISTICS TODAY編集部
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