調査・データ米・市場調査会社のパノラマデータインサイトは21日、日本のサプライチェーンマネジメント(SCM)市場は、2024年の113億ドル規模から、33年には2.6倍の294億ドル規模に達するとしたレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は11.2%を見込んでいる。
レポートによると、日本のSCM市場は精密な物流ネットワークや最新技術の導入、効率的な在庫管理が特徴で、これらは企業の競争力を維持するために不可欠な要素となっている。
特に、自動車やエレクトロニクス、消費財、食品産業でSCMへのニーズが高く、高度なSCMシステムの導入が進んでいる。最近では、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ブロックチェーンなどの先端技術がSCMの効率化を後押ししている。
また、地政学的リスクや新型コロナウイルスのパンデミックなどで、グローバルサプライチェーンの脆弱性が浮き彫りとなったことから、多くの日本企業はサプライチェーンの多様化や国内回帰を進めている。これによって、国内生産の強化と海外依存度の低減による安定した供給体制の構築が求められている。
EC(電子商取引)市場の急速な拡大も、迅速で正確な物流サービスに対する需要を押し上げており、即日配送や個別カスタマイズなど顧客のニーズに対応するための高度なSCMシステムの導入も進んでいる。
カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けた取り組みも同市場に影響を及ぼしており、環境に優しい輸送手段の導入やエネルギー効率の高い倉庫運営、リバースロジスティクス(製品回収・リサイクル)を推進する企業の増加で、持続可能なサプライチェーン構築へのニーズが高まっている。
日本のSCM市場の課題として、レポートでは少子高齢化などによる労働力不足やサイバー攻撃などへの対応、高度成長期に整備された物流インフラの老朽化などを挙げた。
同社は「日本のSCM市場は、今後もデジタル化とサステナビリティを中心に進化を続け、AIによる予測分析やブロックチェーンによるトレーサビリティ(追跡可能性)強化、5G通信技術を活用したリアルタイムデータの共有が、業界全体の効率性を飛躍的に向上させる」と予測。一方で「地震や台風などの自然災害リスクに対応するため、地域密着型の供給網整備が進む」としている。
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