荷主商用EV(電気自動車)メーカーのフォロフライ(京都市下京区)は5月28日、愛知県稲沢市で整備士を対象とした技術研修会を開催した。2022年から全国各地で定期的に開催しており、11回目となる今回は名古屋エリアで初の開催。軽EVからバン、トラックまで3車種を同時に教材とし、EV整備の知見を広めることで、導入事業者の「故障しても修理できる場所が限られている」という切実な課題の解決を目指す。

▲研修風景の様子
高まるEV整備ニーズ、全体の4割弱しか対応できず
フォロフライは、EVの普及が進む一方で、整備の現場では人手不足や情報不足といった課題が深刻化していると指摘する。特に、高電圧部品の取り扱いは従来のガソリン車と全く異なり、整備士には正しい知識と安全対策が不可欠。同社によると、現状、EVを受け入れ可能な整備工場は全体の4割弱、高電圧系の修理経験がある工場に至っては1割強に留まるという。このため、全国的な整備体制の構築が、EV普及を支える上で急務となっている。
同社では、こうした課題に対応するため、自社エンジニアによる座学や実車研修を全国で展開。その結果、同社の整備研修拠点は23年の62か所から、24年には154か所、25年には209か所へと大幅に増加している。今回の研修には、愛知県を中心に静岡や大阪からも整備士が集まり、会場で17人、オンラインで14人が参加した。

▲商用EV3車種
軽EV・バン・トラック、3車種の実車研修で知見深める
研修は、同社がラインアップする商用EV3車種、バンタイプの主力車種「F1VAN」、建設業や移動販売向けの平ボディタイプ「F1TRUCK」、そして今回新たに加わった軽EV「FKV」を実車教材として使用。午前の座学では、各車両の基本的な構造や特徴のほか、高電圧部品の安全な取り扱い手順などを学習。午後の実車研修では、参加者は3つのグループに分かれ、各車両を前に実践的な知識を深めた。参加者は熱心に質問を投げかけていた。
最後に中尾COOは、「観光・路線バスのEV化ニーズに応える新型車両の開発も進行中。トラックの販売で培った整備のネットワークやノウハウを生かし、幅広い用途と架装に対応した車両を展開していきたい」と語った。

▲実車研修の様子
ユーザーとの直接対話でサービス向上へ
同社は今後も、全国での研修会を継続的に開催し、整備ネットワークのさらなる拡充を図る方針だ。24年問題への対応やカーボンニュートラルの実現に向け、物流現場での商用EV導入が加速するなか、それを支える整備体制の構築は、業界全体の持続可能性を左右する重要な鍵となる。フォロフライの取り組みは、そのモデルケースとして注目される。
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