調査・データ帝国データバンク(TDB)は11日、昨今のコメの供給不足の状況を受け、バリューチェーンの要である米卸業者について調査・分析を行った結果を公表した。分析には同社が保有する企業概要データベースCOSMOS2を用いた。
米の卸を主体とする「米麦卸売業」は全国で1822社、売上規模別にみると「1-5億円未満」が693社(38%)と最も多く、「1億円未満」が555社(30.5%)と続き、「5億円未満」が1248社(68.5%)となった。各企業の売上高合計をみると、「100億円以上」の34社で全体の47.5%を占めており、中央値が2.2億円であることからも小規模企業が圧倒的に多いことがわかった。
2004年の食糧法改正により米の計画流通制度が廃止され、米の流通は自由化された。これにより米卸業者は仕入・販売の自由度が高まった一方で、競争が激化し、高付加価値化や生産者との連携、業務の効率化が生き残りの鍵となっている。こうした中、複数事業を展開する企業も多く、1822社のうち76.2%が米麦卸に加えて別事業を持ち、特に「米穀類小売業」を兼業する企業が478社と全体の26.2%を占めた。さらに、肥料・飼料、雑穀・豆類といった関連分野への進出も見られ、収益源の多様化や流通の効率化が進められている。
米卸の商流を把握するために大手卸を頂点として3次取引先(TIER3)の業種までをみると、米類以外に運送関係も多く、米の流通を支えていることがわかった。トラック運転手の人手不足問題もあるため、物流網の目詰まりに対して業界全体での改善取り組みが必要とされている。それぞれの企業が流通工程において必要とされる企業となるために、加工技術の向上や配送機能強化など取引先の多種多様な要望に対応し地域を支えている。
同社によると、目先の供給不足が解消できたとしても、国内消費の減少、農業従事者の高齢化・減少、生産者にとっての安すぎる価格など構造的な課題は残る。今後は、生産・卸・小売それぞれの企業努力に加え、行政と連携した農事従事者が安心して生産できる価格形成の仕組み作りが米業界全体の持続的な発展に向けた重要な鍵となるとした。
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