認証・表彰中小企業庁は28日、2025年度の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を選定したと発表した。経済社会構造の変化に対応し、事業変革や新規事業に取り組む中小企業を対象に、「成長戦略・生産性向上」「海外展開」「GX」「DX」「人への投資・環境整備」の5分野で優れた取り組みを評価した。授賞式は29日に経済産業省講堂で開く。
物流関連では、運送、倉庫、3PL、在庫管理、搬送ロボット、特殊車両、地域交通など、物流機能の高度化や省人化に関わる事業者も複数選ばれた。選定にあたっては、全国中小企業団体中央会、日本商工会議所、全国商工会連合会、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、中小企業基盤整備機構、JETRO(日本貿易振興機構)、JICA(国際協力機構)、JBIC(国際協力銀行)、経済産業局などから推薦を受け、外部有識者による審査を行った。
秋田県横手市のヨコウンは、運送業から総合物流サービス業への転換を進める企業として選定。太陽光発電の導入やJ-クレジットへの参画により年間41トンのCO2削減を図るほか、物流工程で廃棄されていた発泡スチロールのペレット化、地域から資源を回収する「資源循環ステーション」の運営など、GX(グリーントランスフォーメーション)を物流周辺の新規事業につなげている。
茨城県つくば市の沼尻産業は、倉庫開発から3PLまでをワンストップで提供する地域物流企業として選ばれた。社員の異業種出向やQCサークル活動、女性リーダー育成を通じ、現場改善と人材育成を組み合わせる取り組みが評価された。物流事業者が単なる保管・輸送にとどまらず、荷主の業務設計や地域課題への対応に関わる流れを示す事例といえる。
静岡県藤枝市のSIC LOGITECは、4温度帯倉庫を軸にマグロ保管で強みを持つ。水耕栽培事業の黒字化や配送内製化、カフェ運営なども進め、多角化と一気通貫を成長戦略に据えた。低温保管と配送を組み合わせ、食品サプライチェーンの付加価値を広げる取り組みとして位置付けられる。
兵庫県尼崎市の丸一興業は、梱包業から保管・配送まで担う総合物流事業者へ事業領域を広げた。強化段ボール技術を応用した什器事業「bolda」(ボルダリング)も展開し、100%再生素材を用いた製品で新市場を開拓している。寺本運輸倉庫も同市から選ばれ、危険物物流の専門性強化に向けた資格取得支援、給与体系の見直し、定年延長、短時間正社員制度など、人材定着と技術継承を重視する取り組みが評価された。
物流DX(デジタルトランスフォーメーション)や周辺技術では、山形県米沢市のZAICO(在庫可視化)がクラウド在庫管理システム「zaico」により中小事業者の棚卸時間短縮や欠品抑制を支援している。東京都町田市の空解は、純国産VTOL(垂直離着陸機)ドローンを開発し、災害支援や医薬品輸送、僻地物流での活用を見込む。北九州市小倉北区のTriOrb(トライオーブ)は、全方向移動技術を用いた自律移動ロボットで、自動車や半導体分野の工程間搬送を効率化する。福岡県新宮町の矢野特殊自動車は、大型冷凍車や航空機給油車に経営資源を集中し、物流危機を背景にトレーラー型冷凍車などの開発にも取り組む。
また、兵庫県市川町のベルヴィは、自動包装機などを活用してEC(電子商取引)向けの「365日翌日配送」体制を構築した。大阪府東大阪市の丸楽紙業は、自社配送網を活用して紙の配送と同時に廃紙を回収し、地産地消型の再生紙へ循環させるモデルを進める。沖縄県浦添市のイバノは、営業担当者が全業務を担う属人的な体制を改め、購買や物流を独立させた機能別組織へ刷新し、在庫差異の解消と粗利率向上につなげた。
人手不足、輸送力制約、脱炭素、在庫管理の高度化が同時に進むなか、中小企業の現場発の改善や新規事業は、地域物流の持続性を左右する要素になりつつある。
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