調査・データ日本海事センターは21日、パナマ運河とスエズ運河の通航実態や経済規模、近年の混乱要因をまとめた調査報告書を公表した。世界の海上物流を支える2大チョークポイントについて、気候変動や地政学リスクが通航量、輸送距離、運河収入に与える影響を分析し、日本にとって主要チョークポイントの安定通航と国際海上輸送網の戦略的確保が重要だと指摘した。
パナマ運河は全長80キロで、太平洋と大西洋を結ぶ。アジアと北米東岸を結ぶコンテナ輸送での利用が多く、この地域間のコンテナの52%が同運河を経由する。一方、スエズ運河は全長190キロで、アジアと欧州を結ぶ基幹航路を形成する。世界の海上貿易量の12-15%、コンテナ輸送量の3分の1が通過するとされる。
主要港間の貿易データを使った分析では、コンテナ貿易量に占めるスエズ経由の割合が21%、パナマ経由が9%だった。貿易額ベースでもスエズが22%、パナマが6%となり、アジア-欧州航路を担うスエズの比重が大きい。貨物構成では、スエズはコンテナ貨物が過半を占める一方、パナマは石油・ガス、コンテナ、穀物などに需要が分散している。
パナマ運河では、2023年から24年の干ばつで水源となるガトゥン湖の水位が低下し、喫水や1日あたりの通航隻数を制限した。24年の通航隻数は前年比20%減の1万1240隻、貨物量は2億1030万ロングトンまで落ち込んだ。25年は降雨の回復で1万3404隻に戻ったが、長期的には新たな水源となるリオ・インディオ貯水池の整備が通航能力を左右する。同計画は16億ドルを投じ、乾季に最大1日15隻分の追加通航を可能にする構想だが、供用は32-33年ごろを見込む。
スエズ運河では、23年末以降の紅海危機を受けて主要船社が喜望峰経由へ転換した。通航隻数は23年の2万6434隻から24年には1万3213隻へ半減し、運河収入も102億5000万ドルから39億9000万ドルへ61%減少した。喜望峰経由の通航隻数は24年に3万2000隻へ倍増しており、アジア-欧州間では輸送日数が10-14日程度延びる航路変更が広がった。
報告書は、パナマの水不足が輸送能力そのものを縮小させるのに対し、スエズでは安全上の判断によって特定船種が選択的に離脱する点を対照的なリスクとして挙げた。自然条件、武力衝突、通航料金、船舶大型化が複合的に航路選択を左右するなか、単一ルートへの依存を前提とした物流設計の見直しが課題となる。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。































