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建設費高騰が物流不動産の追い風に、ESR分析

2026年9月4日 (金)

調査・データESR(シンガポール)は、アジア太平洋地域の物流不動産について、建設コストの上昇や優良物件の供給制約、賃料上昇を背景に、長期の投資対象として優位性が高まっているとの見方を示した。不動産投資専門誌PEREのインタビューで、フィル・ピアース社長が市場環境について語った。

ピアース氏は、インドや東南アジア、北アジアの一部で、GDP成長や中間層の拡大、都市化、EC(電子商取引)普及が進み、消費や製造活動が拡大していると指摘した。加えて、地政学リスクやサプライチェーンの多様化に伴い、生産・物流網の再構築が進み、大都市圏や交通結節点、製造集積地に近い高品質な物流施設への需要を押し上げているとした。

一方、アジア太平洋では機関投資家が求める水準の物流施設供給が限られ、特に日本では建設費の上昇を受けて新規開発に慎重な動きが広がっている。この結果、既存の高品質物件を再調達価格を下回る水準で取得できるケースが生じているという。建設費上昇は新規開発に必要な賃料水準を引き上げるため、日本、韓国、豪州、シンガポールなどでは賃料上昇を支える要因にもなっている。

施設に求められる仕様も変化している。ロボットや自動化設備の導入には大規模な床面積や高い床精度が必要で、特に日本や韓国のように土地供給が限られる市場では、こうした条件を満たす施設が不足している。ESRは、超平坦床や高層ラックへの対応に加え、働き手を確保するための施設環境も物件価値を左右するとみる。日本ではドライバーや従業員向け設備、保育施設などを整備しているという。

ピアース氏は、優良物件の取得が難しいなか、開発した施設を安定稼働後に長期保有型投資家へ移す「Build-to-Core」戦略も引き続き有効とした。高品質な物流施設を新たに開発し、長期安定収益を求める投資家へつなぐことで、市場で取得しにくいポートフォリオを形成できるとしている。

日本市場については、従来は賃料成長が乏しい市場とみられてきたが、建設費上昇と供給抑制を背景に需給環境が変化し、賃料上昇が見られると指摘した。利回りは3.5%から4%程度で、低金利環境も投資妙味を支えているとしている。

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