ロジスティクスオートストアは28日、2026年秋の新製品発表に合わせてプレス説明会を開き、AIと世界各地の設備稼働データを活用した事業戦略を説明した。従来の保管・搬送工程を中心とした自動化から、設備投資の検討、システム設計、日常の運用、保守管理までを包括的に最適化する「自律化」への移行を進める。新たなソフトウエア群とハードウエアの機能拡張を通じ、物流施設の生産性向上と運用負担の軽減を図る。
同社は過去2年間に、既存製品の改良を含む18の製品・機能を投入してきた。25年には異なる高さの収納ビンを同一設備内で扱う「FlexBins」やケース単位の荷扱いに対応する「AutoCase」など、ハードウエアの対応領域を拡大。26年春にはソフトウエアとAIを連携させる基盤を整備した。
バイスプレジデントジャパンの安高真之氏は、これまでソフトウエア開発に注力し、早い段階から設備の稼働データを収集・可視化してきたことが、今回のAI活用につながったと説明。長年蓄積してきたデータの価値が、AIの進化によって具体的な形になり始めたとの認識を示した。
今回の発表は「自動化から自律化へ」を強く打ち出すものであり、ハードウエアの進化と、世界中の設備から得られる知見を活用した意思決定支援を重点領域に位置付けた。
ビジネスデベロップメントマネージャーの増田浩幸氏は、従来の自動化が人手不足や物流コスト上昇など顕在化した課題への対応を中心としていたのに対し、今後は需要や商品構成の変化、複雑化する投資判断、導入後の継続的な最適化への対応が重要になると説明した。

▲増田浩幸氏
世界中で蓄積した知見をAIに活用
新製品の中核となるのが、ハードウエアとそれを支えるソフトウエア群を統括する「CubeVerse」、さらにそのソフトウエア群に実装されたAI・データ活用基盤「AutoStore Intelligence」だ。世界で2000システムが導入されている強みを生かし、ロボットの走行距離や稼働状況、作業ステーションの処理実績、設備の設計情報などを蓄積。AIによる分析を通じて、設備の最適な構成や運用改善、保守時期の判断を支援する。

▲「CubeExplore」イメージ(出所:AutoStore)
生成AIを活用した「CubeExplore」は、導入候補企業の受注量、商品数、運用条件などを入力すると、投資対効果(ROI)や想定処理能力、投資回収期間などを含む初期提案資料を作成する。従来は設計担当者による検討が必要だった作業の一部を自動化し、提案までの時間を短縮する。当面はオートストアと販売パートナーが利用し、初期提案の迅速化や提案品質の平準化につなげる。安高氏は、将来的には顧客自身がウェブ上で操作し、専門エンジニアに依頼しなくても、導入効果や概算の投資額を手軽に試算できる仕組みを目指す考えを示した。
設計支援ツール「CubeStudio」では、AIが過去の設計・稼働データに基づいて最適な設備構成を提案。必要なロボット台数や作業ステーション数などをシミュレーションと組み合わせて検証し、過剰投資の抑制や設計品質の平準化につなげる。
また、設備保全を支援する「CubeFleet」は、ロボットの走行距離や部品の使用状況などに応じて交換時期を提示する。一定期間ごとに実施する保守に加え、実際の使用状況に応じた保全を可能にするもので、計画外の設備停止時間を35-45%削減できると試算している。複数拠点の設備状況も一元的に管理でき、保守作業の指示や履歴管理にも対応する。
ハードウェアはより使いやすく進化

▲「FlexBinsPort」イメージ(出所:AutoStore)
ハードウェアでは、新型ワークステーション「FlexBinsPort」を発表した。これまで異なる高さのビンを保管できるFlexBinsで使用する場合も、取り出しには高さに応じた専用ポートが必要だった。新製品は複数の高さのビンを単一のポートで扱えるため、異なるサイズの商品を含む注文でも、同じ作業場所でピッキングを完結できる。これにより、保管効率を10-15%改善できるほか、システム内で扱える商品種類の拡大も期待できるとする。ケース単位の荷扱いに対応する「AutoCase」、最大600×400ミリのケースに対応できる機能拡張で、使い勝手を高めた。
中小規模向けをターゲットとしたサブスクリプション型自動倉庫「Pio」では、ロボットアームを組み合わせた「Pio Pal」を展開する。作業者によるピッキングだけでなく、出荷前の注文準備などをロボットで自動化し、夜間を含む設備の活用を促す。
Pioはことし提供を開始したばかりだが、すでに国内での導入も決定して来年の稼働を待つ状況であることも報告された。中小企業向けの提案に加え、製造業向けや店舗向けのアプリ提供、AIによる投資計画と設計の意思決定の迅速化や可視化、安定運用支援を通じて、自動倉庫導入の民主化を目指す姿勢だ。
一連の製品・機能の国内展開については、ハードウエアを来年の初めに、ソフトウエアも同年上期に順次提供する見通しだという。
安高氏は今回掲げた「自律化」について、直ちにすべての業務を無人化することを意味するものではないと説明。最終的な判断と責任は人間が担うことを前提に、AIによって複雑な意思決定を支援し、設備導入後も継続的に運用を改善できる仕組みを目指す。
保管・搬送の自動化から、設備のライフサイクル全体を通じた最適化へ。蓄積した稼働データを生かし、自動化の裾野の拡大とともに物流システムの価値を高める戦略を鮮明にした。

▲安高真之氏
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