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調査・データ一五不動産情報サービス（東京都墨田区）が5月31日に発表した物流施設の賃貸マーケット調査結果によると、東京圏の賃貸用物流施設の空室率（4月時点）は4.8％となり、前期の4.9％から0.1ポイント低下した。
今期（2-4月）の新規供給は22.9万平方メートルに対し新規需要は23.5万平方メートルで、需給バランスは緩やかに改善している。
具体的にみると、シーアールイーの「ロジスクエア久喜II」「ロジスクエア浦和美園」「ロジスクエア新座」が相次いで竣工し、ロジスクエア久喜IIに国内メーカー、ロジスクエア新座にビルディング・ブックセンターが入居した。
また、三菱地所による「ロジクロス厚木」が竣工し、三鷹倉庫と全棟賃貸借契約を締結。伊藤忠商事による「アイミッションズパーク守谷」の竣工、GLPによる「GLP川島」の竣工、プロロジスによる日立物流ファインネクスト専用施設の「プロロジスパーク古河2」の竣工が発表された。
竣工前のプレリーシングも順調に進む案件が多く、12月に竣工する「プロロジスパーク市川3」は契約率が75％に、2018年2月竣工の「GLP流山I」で3万平方メートル、19年3月竣工の「GLP流山III」で4万平方メートルの賃貸借契約がすでに締結されている。
今後の開発計画では、三菱UFJリース、東急不動産、ケネディクスの3社による共同開発である「春日部物流センター」の着工、三井不動産とプロロジスによる「MFLPプロロジスパーク川越」の共同開発事業の決定、三菱商事都市開発による「MCUD川崎Ⅰ」の増築、三菱地所による「ロジクロス習志野」の着工が発表された。また、伊藤忠商事は東京都足立区で「アイミッションズパーク舎人公園」、千葉県柏市で「アイミッションズパーク柏」の開発に着手、野村不動産も東芝青梅事業所跡地で「Landport青梅I・II・III」を計画している。
圏央道の周辺地域では多くの土地区画整理事業が進んでおり、「事業地内でディベロッパーが開発用地を入手する動きも広がっている。また東京外環自動車道や国道16号線の周辺地域でも開発プロジェクトが増えており、東京圏では内陸部を中心に今後も開発ラッシュが続く見通し」（一五不動産情報サービス）。
4月の東京圏の募集賃料は1坪あたり4260円で、前期の4170円から90円（プラス2.2％）の上昇となった。3四半期連続で上昇した。
2月に圏央道「境古河IC」-「つくば中央IC」が開通し、東名高速道路から東関東自動車道にまで6つの放射道路が圏央道によって接続。同社は「圏央道周辺とその以北の物流施設は割安な賃料設定でテナントを吸引するといわれ、旺盛な新規開発は東京圏全体の賃料水準を押し下げることが懸念されたが、東京圏全体の募集賃料は堅調。圏央道を含む環状線の整備が物流効率を高め、利便性が向上した東京圏で底堅い需要が顕在化するという好循環が続いている」と分析した。
一方、4月の関西圏の空室率は11.7％で、前期の5.9％から5.8ポイントの大幅な上昇となった。今期の新規供給は38.3万平方メートルで、過去最大を更新するが、新規需要は11.7万平方メートルに留まった
具体的にみると、ラサール不動産投資顧問、NIPPO、三菱UFJリースが共同で進めていた「ロジポート堺」が契約率30％で竣工したほか、複数のマルチテナント型物流施設が関西圏の各地で竣工した。
今後は、翌期（7月）に組み込まれる4月-7月の竣工物件は、BTS型プロジェクトが多く、マルチテナント型物流施設のプレリーシングも比較的順調に進んでいることから、空室率は一時的に低下する見込み。その後は17年末にかけて超大型のマルチテナント型物流施設の竣工が控えており、空室率は再び上昇に向かう見通し。
今後の開発では、プロロジスによる「プロロジスパーク京田辺」の起工、GLPによる「GLP寝屋川」は着工前に丸二倉庫と全棟賃貸借契約を締結、「GLP枚方III」の着工、ESRによる「ESR尼崎ディストリビューションセンター」の開発、阪急電鉄と三菱地所は「彩都もえぎ物流施設計画」を共同で推進することを発表。関西圏では新名神高速道路の整備が進んでいることもあり、内陸部での新規開発計画が相次いで発表されている。
4月の関西圏の募集賃料は1坪あたり3350円で、前期の3450円から100円（マイナス2.9％）の下落。 関西圏では過去最大の新規供給から需給バランスは緩和傾向で、募集賃料も弱含み。同社は「関西圏でも労働力が確保しやすいなど、その他物件と差別化が可能な物件では底堅い需要が期待でき、賃料水準も安定的に推移すると考えられる」と分析。
