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書き手=物流コンサルタント・永田利紀

「コハイのあした」 第2回 -複合サービス時代の幕明け

2020年1月15日 (水)

話題客単価という言葉の重みはいつの時代も不変だ。企業の販売活動において、単価の増加はあらゆる点で好ましい。誰もがそれを承知しているが、問題は実現する方策である。プラスオン、トータル、セット、オプション…こんな言葉がさんざん使われてきたし、今後も変わらないだろう。

■ 一石多鳥

上記の方策ワードは、個配にまつわる複合サービスでも使用される。生活者からは「一緒になっているのでお得」「ついでに頼めるから便利」など、今までもさんざんどこかで聞いたようなコメントが並ぶ。それこそが狙いどおり、なのだ。提供者である企業からは「同一顧客・同一日時・複数サービス・同時提供・単価アップ」のように、石を投げたら何羽も鳥が落ちてきた、というまことに結構な画図が描ける。実は投げた石の数は二個だった、なんていう種も仕掛けもあるかもしれないが。

■ 一方通行と相互通行

今までの個配サービスは原則として「相互通行配送」だった。ここでいう通行とは情報と行動を指している。その象徴が「日時指定」や「不在通知と再配達」などのやり取りだ。発送者・配送 者・受領者の3者を巻き込んで、通知用紙、電話、メール、WEB画面操作などの「手間」を共有してきた。便利で安心は進化と成熟の証、だったはずだ。しかし手間=コストという事実は軽くなかった。誰が負担するのか?で二転三転したが、結局は毎度おなじみの消費者負担で落ち着きそうな気配だ。負担するのが嫌なら、発送者と配送者の便宜を優先させるしかない。つまり情報と行動が「 一方通行」となる。それが置き配や店頭受取の本質だし、サービスの多様化に至る当然の選択肢だろう。

■ 裸の王様と裸の収益

誰かが「個配単独での収益維持は困難ばかりに見舞われますよ」とガリバーたちを諭さなければならない。「決して敵対しない相手」と3Kingsが安心できる他国の王が適役だ。共存共栄、主従は問わず、餅は餅屋、などと安心させつつ、世間一般のサービス業の身づくろいと物言いを教えて、丸腰で裸のまま往来を歩くことをやめさせる。最終的に生活者の日常感覚を酌んだビジネス展開のいろはが身につくという算段だ。複合サービス提供の構成者となるために避けて通れない手順である。サービスの根幹を支える機能提供者であっても、基本原則は理解する必要があろう。

そんな下準備が整ったあかつきには、さまざまな業界から多種多様なサービス提供が開始される。個配機能自体は従来よりもタイトで簡潔になっているのに、なぜか過熱感や切迫感は少ない。井戸の外からやってきた玄人の段取りや前捌きが利いているから、がその理由だ。他国の流儀と技能の混入は、個配のみならず、物流業界に大きな変革への動機づけを与えることになるだろう。理解できない、しようとしない、計画に時間がかかりすぎて行動に移せない。そんな「いつか来た道」を再び往く者はいないはずだ。

―第3回(1月21日公開予定)に続く

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