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「コハイのあした」 第5回- 見えない波動

2020年2月14日 (金)

話題巨大市場から生活インフラへの進化を求められている個配は、荷主と呼ばれる発送者ではなく、その注文者である顧客、つまり受領者によって大きな 変貌を遂げつつある。

■ 個人の個、個所の個

市場の主は消費者であり、それは購買と配送の主であるということだ。その支持を失うことは市場参加できなくなると同意だ。かつて郵便は通信手段の主柱だった。電信の普及が進んでも、手紙や小包の市場は揺るぐことなく君臨していた。その立場を脅かしたのは事業競合する新勢力や外資の参入ではなかった。より細やかで速く、手間がかからず、圧倒的な即時性を兼ね備えた文字や画像の通信手段は手紙やはがきを、所要時間や手軽さ、値段に勝る民間個配は小包市場を呑み込んで、さらに新たな市場開拓まで成し遂げた。郵便を否定や批判する者は極めて少ない。衰退した理由は郵便そのものにはなかった。違う方法が拡がり定着したからに他ならない。

■ 個配を呑み込む波動の予感

現在の個配市場は頭打ちしつつある。年々拡大するが、内容はたいして変化しない。それはビール市場のたどった道に似ている。巨大で安定しているのに未来がない。顧客は似たような味の安い新顔を好むようになった。ビールが不味いから呑まなくなったのではなかった。代わりになるお得な商品が出たから乗り換えただけだ。同じビール屋が作っている、がせめてもの救いだったが、内部者の葛藤は想像に易い。ビールへのこだわりは、メーカーの想いほどには消費者にとって重要でなかった。高くてもうまい」より「安くてもまずくない」ほうが時代にあっていたのだろう。個配はどうか?速くて高いよりも安くて遅くない、が主流となるのかもしれない。配送に流行りや好みはない。単なる機能である限りは、価格優先で利用サービスの 比率が変動する。問題は自らが商品開発し、看板商品を脅かすような内部競合を生み出せるかに尽きる。それには今の当然や正常を否定することが求められる。独立独歩のガリバーたちが、外力や内部混乱の収束以外に、変革する行動を起こせるのか否かが分水嶺になるだろう。出来なければ新しい勢力が市場を席巻する。構成パーツが少ないサービスなので、後追いするに容易いと判断する企業があっても不思議ない。

■ 断層のありか

個配機能の今後について書いてきたが、万人の思惑や欲求の動きに勝る「理由」はない。市場という大きな地殻が少し動いただけで、その上で業を営むプレイヤーたちはよろめいたり倒れたりする。ケガだけでは済まず、致命傷を負うこともある。起き上って歩き出す者、倒れたまま息絶える者もいれば 、誰かに背負われる者など、さまざまだろう。淘汰と再生が市場深部の見えない波動によって引き起こされる。それは生活者の日々の言葉や行動の堆積物が生み出したうねりにほかならない。

観察すべきは「今まで」と「今から」を分かつ断層の所在ではないだろうか。隆起と沈下の境目と書くほうがわかり易いかもしれない。

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