話題「なまもの」にまつわる物流手段として、新幹線の速度や車両容量は魅力的だ。旅客主体の運用が専らだったのは過去となり、コロナ禍による乗車数激減が契機となって、貨物への転用がなされるのは当然のなりゆきといえよう。
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国内では目新しく、見聞きする機会は少ないかもしれないが、すでにアメリカ合衆国では1980年代にリニアビークルによる物流利用が研究や試験されており、東海岸から西海岸までの時差3時間に及ぶ距離を1時間以内(当時の構想は10分未満)で結ぶ――あくまで乗員無人での運用――という経済記事が流行ったこともあった。
今や日本においても、リニア車両の運行はもはや夢でも期待でもなく、まさに実用試験の最終局面も終わりを迎えようとしている。
米国ほど広大ではない国土のわが国では、まずは旅客よりも貨物への注力をなすべきだと思うが、読者諸氏はいかがお考えになるだろうか。
新幹線と中小型旅客機で、国内旅行の需要は一定程度酌めるのだとしたら、管制センターから無人走行を制御できるリニアモーターカーは、貨物輸送に好適であると断じて支障ないはずだ。
人体に影響が懸念される高速移動(試験によって人体に安全であるという報告は承知している)も、生鮮品などのモノ輸送なら何の支障もないだろう。そのうえ静音航行ゆえ、夜間の高頻度輸送にも不都合ない。
深夜午前3時に東京を出た生鮮品や生花が、その1時間後には鹿児島のTCに届いている。そして小売店舗に開店時には店頭に並んでいる――というのも、もはや夢でも妄想でもない。
ドラッカーの予見どおり「21世紀はロジスティックスの時代になる」と呟きながらこの原稿を書いている次第だ。(企画編集委員・永田利紀)