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そしてリニアへ/解説

2021年1月20日 (水)

話題「なまもの」にまつわる物流手段として、新幹線の速度や車両容量は魅力的だ。旅客主体の運用が専らだったのは過去となり、コロナ禍による乗車数激減が契機となって、貨物への転用がなされるのは当然のなりゆきといえよう。

最高時速240キロでチューリップ輸送、東京駅で販売
https://www.logi-today.com/416508

(イメージ画像)

国内では目新しく、見聞きする機会は少ないかもしれないが、すでにアメリカ合衆国では1980年代にリニアビークルによる物流利用が研究や試験されており、東海岸から西海岸までの時差3時間に及ぶ距離を1時間以内(当時の構想は10分未満)で結ぶ――あくまで乗員無人での運用――という経済記事が流行ったこともあった。

今や日本においても、リニア車両の運行はもはや夢でも期待でもなく、まさに実用試験の最終局面も終わりを迎えようとしている。

米国ほど広大ではない国土のわが国では、まずは旅客よりも貨物への注力をなすべきだと思うが、読者諸氏はいかがお考えになるだろうか。

新幹線と中小型旅客機で、国内旅行の需要は一定程度酌めるのだとしたら、管制センターから無人走行を制御できるリニアモーターカーは、貨物輸送に好適であると断じて支障ないはずだ。

人体に影響が懸念される高速移動(試験によって人体に安全であるという報告は承知している)も、生鮮品などのモノ輸送なら何の支障もないだろう。そのうえ静音航行ゆえ、夜間の高頻度輸送にも不都合ない。

深夜午前3時に東京を出た生鮮品や生花が、その1時間後には鹿児島のTCに届いている。そして小売店舗に開店時には店頭に並んでいる――というのも、もはや夢でも妄想でもない。

ドラッカーの予見どおり「21世紀はロジスティックスの時代になる」と呟きながらこの原稿を書いている次第だ。(企画編集委員・永田利紀)