国際米国・イスラエルによるイラン攻撃を受け、ペルシャ湾と外洋を結ぶホルムズ海峡が事実上の商業航行停止に陥っている。イラン革命防衛隊(IRGC)がVHF無線で全船舶に通過禁止を通告。イラン政府による公式の閉鎖宣言は出ていないが、APモラー・マースク(デンマーク)、MSC(スイス)、CMA CGM(フランス)、ハパックロイド(ドイツ)の世界大手4社が相次いで全便停止を発表した。日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船3社もホルムズ海峡の通過を停止し、関連船舶に安全海域での待機を指示した。
海外物流メディアの船舶追跡データによると、2月28日夜以降、大型原油タンカーのホルムズ海峡通過は確認されていない。同日の通過船舶数は72隻で、前日の116隻から大幅に減少した。海運分析会社の推定では、コンテナ船170隻(合計45万TEU、世界船腹の1.4%)がペルシャ湾内で足止めされている。タンカーも150隻以上が湾内で錨泊中と海外メディアが報じた。

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ホルムズとバブエルマンデブの「二重封鎖」
事態を深刻にしているのは、ホルムズ海峡だけでなくバブエルマンデブ海峡(紅海)も同時に脅威にさらされている点だ。マースクは3月1日、ホルムズ海峡の全便停止に加え、バブエルマンデブ海峡経由のスエズ運河通過も一時停止すると発表。CMA CGMもスエズ運河通過を無期限停止し、喜望峰(ケープ)経由への振り替えを決めた。MSCはバブエルマンデブ海峡も対象に含めた上で、中東向けの全世界貨物予約を全面停止した。ハパックロイドは顧客向け通知で、この措置は「裁量によるものではなく、現在の状況と規制上の制約への必要な対応だ」と説明した。
海外コンテナ専門メディアは今回の事態を「二重チョークポイント危機」と報じ、近代コンテナ海運で前例がないと指摘した。海運調査会社のアナリストは、26年中のコンテナ船の紅海復帰の見通しは完全に消えたとの見方を示した。
湾岸の主要港にも被害が出ている。ドバイのジュベルアリ港ではイラン報復攻撃の迎撃破片による火災が発生。クウェートのシュアイバ港は全面停止し、船舶を錨地に避難させた。バーレーンのハリファ・ビン・サルマン港も業務を停止。カタールは海上航行を一時的に全面停止した。
戦時保険料も急騰している。保険ブローカー大手は、ペルシャ湾の船体保険料が25-50%上昇すると推定。1億5000万ドル級のコンテナ船で、1航海あたりの保険料が37万5000ドルから75万ドル超に跳ね上がる計算だ。米海軍はペルシャ湾、オマーン湾、北アラビア海、ホルムズ海峡の全域で商業船舶の安全を保証できないと通告した。
国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務局長は「全船社に最大限の警戒を求める。可能な限り、状況改善まで対象海域の通過を避けるべきだ」との声明を出した。
ホルムズ海峡は世界の海上原油輸送の5分の1、液化天然ガス(LNG)取引の2割が通過する要衝。封鎖の長期化は1970年代のオイルショック以来のエネルギー危機につながりかねない。週明け3月3日の原油先物市場の動向が注目される。
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