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CBAM対応や戦略的VAT活用など、日本企業を支える優位性を提示

オランダ大使館、欧州物流と環境規制の最新動向解説

2026年9月16日 (水)

国際オランダ経済・気候政策省企業誘致局(NFIA)は、日本企業に向けた欧州物流および環境規制に関するセミナーを、大阪と東京で計3回にわたり開催する。このうち、欧州市場への進出を検討し、自社物流を持たない中堅・中小企業を対象としたセミナーを、駐日オランダ王国大使館(東京都港区)で15日開催した。

EUが導入するCBAM(炭素国境調整メカニズム)などの環境規制への対応策や、オランダの税制上の優位性を解説し、欧州物流の最適解を提示した。

冒頭、同局駐日代表のエド・デ・ロンデ氏が登壇し、オランダでの日本企業の動向を語った。日本とオランダは400年を超える貿易の歴史を持つ。1970年代の日本の輸出拡大を背景に、多数の物流企業やメーカーが欧州の玄関口として同国に拠点を構えた。現在600社の日本企業が国内に900か所以上の拠点を展開し、5万2000人の雇用を創出しているという。

▲オランダ経済・気候政策省企業誘致局の駐日代表エド・デ・ロンデ氏

同国の国内総生産の14%をサプライチェーン関連産業が占めるといい、高度なコールドチェーン物流などの強みを提示。同氏は日本企業が欧州統括拠点や物流拠点をオランダに置く現状を評価し、近年は先端技術やライフサイエンス分野の研究開発拠点への投資も拡大していると力説した。戦略的なビジネス拠点として機能する現状を強調している。

続いて、Holland International Distribution Council(オランダ物流振興協会)のシニアマネージャー、ヤスパー・エッヘビーン氏が物流情勢の展望を解説。地政学的リスクや環境規制への対応から、サプライチェーンの強靭化が不可欠だと主張した。可視化、接続性、最適化、回復力の4要素を組み込む重要性を説き、持続可能な倉庫やデジタル技術を用いた最適化の進展を報告した。

単一地域への依存や資源不足といった圧力が同時にかかる現状を指摘し、変化を吸収して対応する供給網の構築を求めた。Royal Schiphol Group(ロイヤル・スキポール・グループ)の貨物部門長、エドゥアルド・モルケンボア氏は航空貨物ハブとしての役割を紹介。同空港の優れた接続性に加え、データ共有によるデジタル化がサプライチェーンの効率化に直結すると明言した。年間を通じて日本と多数の直行便や貨物便を結び、時間的制約の厳しい高付加価値な貨物流通を支える戦略を披露した。

Londen & Van Holland(ロンデン・アンド・ヴァン・ホランド)の間接税担当パートナー、ラケーシ・ジラー氏は、オランダ税務代理人制度を活用した戦略的VAT(付加価値税)の利点を詳述した。オランダ独自のVAT繰延制度を利用すれば国境での前払いが不要となり、企業の資金繰りに多大な利点をもたらすと解説。

▲Londen & Van Holland 間接税担当パートナーのラケーシ・ジラー氏

現地法人を設立せずにVAT登録のみで円滑な通関が可能になる点をアピールし、JAPANデスクゼネラルマネージャーの金子靖氏が日本企業の支援窓口として対応すると紹介した。

ACT Solutions Japan(東京都千代田区)の営業統括、吉良龍人氏はCBAMコストの管理手法を提言。対象製品を輸入する際にはEU ETS(排出量取引制度)価格に連動したコストが発生し、輸出側の日本企業にも間接的な影響が確実に及ぶと警告した。価格変動リスクを固定化する金融的なヘッジ手法を用いることで、競争力を維持する方策を指南。特に鉄鋼やアルミなど排出量が多い製品を輸出する企業に対し、信頼性の高いデータを維持して価格交渉に備える具体策を提示した。

質疑応答では、今後のオランダ物流業界が果たすハブ機能の展望について質問が挙がった。ヤスパー氏は、単に規模を拡大するのではなく、最もスマートで持続可能なハブを目指すと回答。トラックの空荷走行などの無駄をデジタル技術で排除し、環境基準を満たす条件が将来の標準的な選択肢になると回答した。

最後にデ・ロンデ氏が再び登壇し、「皆さまの知識や経験を共有し、共に解決策を見いだす場を持てたことをうれしく思う」とあいさつ。関係者が協力してビジネスを継続支援する姿勢を打ち出した。その後のネットワーキングでも登壇者と参加者が直接対話し、活発な意見交換が行われ閉幕した。

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