イベント物流現場における倉庫とトラックのデータ分断解消には、パレットなどユニットロードの規格統一が不可欠である。DX(デジタルトランスフォーメーション)に必要な技術やソリューションが数多く存在するなか、こうした実装の課題に正面から向き合う「第4回物流DX会議2026」が、10月28日から30日までの3日間集中配信で開催されている。
本誌LOGISTICS TODAYが主催し、物流DXコンソーシアムが協力する今回は「The Implementation -実装-」を全体テーマに設定。物流DXの最前線で取り組む企業が集結し、技術の可能性だけでなく、実際の業務に組み込むための課題や解決策を持ち寄る。
同会議の特別企画「この指止まれ」には物流業界の経営者や実務担当者が集まり、「倉庫とトラックが繋がらない問題〜荷待ち・荷役削減を阻む『バース・庫内・配車』のデータ分断をどう超えるか〜」をテーマに議論を進めた。

▲倉庫とトラックがつながらない問題を議論した「この指とまれ」コーナー
モデレーターの本誌赤澤裕介編集長が、倉庫とトラックの連携不足という現状について問題を提起。参加した経営者からは、自社の最新システムを導入した環境下でも依然としてデータ分断が存在するとの同意が示された。営業部門や物流センターで扱うデータは独立しており、オフィスと現場で実態を捉える視点に大きな違いがあるなど、導入したシステムを現場の改善活動に直結させる難しさが浮き彫りになった。
運送会社の規模やシステムの違いから、業界全体を貫く共通言語は存在しない。トラックの到着時間に合わせて荷主側が荷物を用意する文化は現場に根付いておらず、運送側に配慮するインセンティブが不足し、ドライバーに長時間の待機を強いる要因になっているとの切実な声も上がった。また運送現場からは、荷姿やパレットの規格が異なると正確な積載計算が進められず、配送最適化が困難になるとの現状報告もあった。
局所的な個別最適の取り組みが進む現状に対し、物流DXコンソーシアムの田口智士理事長兼事務局長は警鐘を鳴らす。局所的な取り組み同士が全く連携していない実態を指摘し、全体最適を前提としたデータの持ち方やシステム間の連携方法を定める必要があると力説。AI(人工知能)を活用してデータ間の差分を調整する手法の重要性も訴えた。
この分断状態を突き崩す最大の解決策として議論に上ったのが、ユニットロードの標準化だ。過去60年間にわたり標準化を阻んだ最大の要因は、パレットを一企業が単独で所有する点にあるという。この課題を根本から覆すため、パレットを業界共通の公共物として扱うべきだという大胆な提言がなされ、参加者の強い支持を集めた。
議論の中では、国が主導して1兆5000億円規模の予算を投入してパレットを買い上げ、標準化を一気に推し進めるべきだという私案も飛び出した。パレットを紛失した際のペナルティーを厳格化し、利用希望者にはレンタル市場を整備して使いやすくする手法なども議論の俎上に載った。
規格を完全に統一すれば、WMS(倉庫管理システム)や配車システム間のデータ連携も劇的に容易になる。システム改修にかかるコストや労力を大幅に削減する効果も期待でき、現場ドライバーを苦しめる手積みなどの過酷な荷役作業の消滅や、長時間の荷待ち問題解消への大きな前進が見込まれる。さらには、パレットが標準化されれば建物を建設する段階で型枠を固定化でき、保管スペースを自由に貸し借りする新たなビジネスモデルの可能性も広がるという。
積載率低下や荷待ちの根本原因をあぶり出すため、商品情報と納品先、運送会社という3つのデータを徹底的に可視化するアプローチの重要性も指摘された。納品先ごとに積載率が低い原因を分析し、便ごとの荷待ち時間を可視化すれば、改善に向けた対話を大きく促せる。共同配送を推進するため、国によるインセンティブ付与を求める声も続いた。
別会場での登壇を終えて飛び入りで議論に加わった参加者からは、リードタイムの重要性を問う現場ならではの生の声も出た。物流現場は日々の業務に忙殺され、情報を連携する時間を全く捻出できない実態があり、情報を同期化するには現場の時間をいかに確保するかという新たな課題も突き付けられた。
ユニットロードの標準化さえ実現すれば、物流DXが持つ本来の威力をいかんなく発揮し、業界を変革できる。参加した経営者らはこうした方向性で概ね見解を共有し、課題解決には国主導の政策による力強い後押しが必要であるとの姿勢を示した。
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配信期間:2026年10月28日(水)-30日(金)の3日間限定
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参加費 :無料(事前登録制)
主 催:LOGISTICS TODAY
協 力:物流DXコンソーシアム
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