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法人向け車両管理システムを提供するスマートドライブ

データの価値化促す「サポート体制」で差別化明確に

2021年11月4日 (木)

話題トラックドライバー歴40年の大ベテラン。営業所の中でも最古参で、頑固だが誰からも慕われる存在だ。玉に瑕(きず)なのは、運転が荒いこと。配車担当者の女性は、全車両に導入している車両管理サービスのデータを見てため息をついた。急発進や急ハンドリングが多く、とても安全運転とは言えない数値が並んでいた。先日は、ベテランドライバーの担当顧客から荷物が破損していたと叱られたばかりだった。「でも注意しても聞く耳を持たないだろうし、困ったな」

女性は、車両管理サービスの営業担当者から教えられたカスタマー窓口に相談。後日設定された打ち合わせの場で、こうしたドライバーへの注意の仕方を聞いた。教えられた通りにベテランドライバーに伝えたところ、思ったよりもすんなりと受け入れてくれた。

法人向け車両管理サービスを提供している「SmartDrive」(スマートドライブ)。600社以上に導入され、ことし5月期の日本マーケティングリサーチ機構のブランドイメージ調査で、経営者とドライバーが使いたい法人向け車両管理サービスのナンバーワンに輝き、導入事例の掲載数もトップを誇る。このサービスの強みは、いったいどこにあるのだろうか。(LOGISTICS TODAY編集部)

データ化だけが強みではない

▲データを示すだけでなく、課題解決につなげるサポート体制が強みと話る田中さん

「SmartDriveを物流企業様向けに提供する場合は、『車両動態データ』『車両走行データ』を活用することで、安全で効率的な業務の実現を支援します」と話すのは、スマートドライブ(東京都千代田区)エンタープライズ営業部シニアセールスの田中佑介さん。しかし、SmartDriveの強みは、データによる車両管理だけではないという。「こうしたデータをどう活用すれば課題解決につながるのか。そこまでサポートできるのが、SmartDriveの強みと考えています」(田中さん)

「移動の進化を後押しする」とのビジョンを掲げて、スマートドライブが誕生したのは2013年。創業者の北川烈社長が移動体のデータ分析を研究していた大学院の在学中に創業した。アクサ損害保険とのテレマティクス事業における業務提携を結び、交通事故の発生要因の「見える化」に取り組み、車両管理におけるデータ収集の礎を築いた。

▲シガーソケット型の車載機

こうした成果をもとに、車両の電源に直接つないで燃費やエンジン回転数、位置情報など幅広い走行データを収集できる機器「OBD2」(オービーディーツー)からデータを直接取得できるデバイスを開発。車両の「使われ方」を把握することで、より最適な車両の配置台数やルートなどの設定を可能にする車両管理システムを作れる手応えをつかむ契機となった。しかし、車両のバッテリーに端子を直結するデータ取得方法では、普及を広げることが難しかった。取得データの範囲についても、必要最低限に留めて汎用性を高める方が市場では支持されやすいとの考え方もあった。

そこで、トラックなど一般車両に搭載しやすい新機器を独自に開発。シガーソケットに端子を差し込んで電源を得る仕様としたほか、位置情報の取得方法も近距離無線通信の測位機能からGPS(全地球測位システム)に変更した。それが2016年12月に提供を開始したSmartDriveの車両管理システムだ。

スマートドライブにとって車両管理システムの誕生は、移動データの分析から取得へ、そしてサービスの開発へと大きく歩みを進める節目となった。「取得した移動データをどうお客様の価値創造につなげるか。当社の車両管理システムは、まさにこうしたニーズに対応したツールとして誕生したのです」(田中さん)

取得した移動データを「安全」「業務効率化」で価値化

SmartDriveが創出する価値とは何か。田中さんは、物流業界に提供できる価値を「安全」「業務効率化」の2点に集約できると考えている。

車両で荷物を運ぶ物流業務において、安全はあらゆる業務の基本だ。ここでポイントなのは「事故を未然に防ぐ」ことだ。つまり、事故につながりそうな因子を抽出する目的でデータを取得する。「急発進や急ハンドリング、急減速といった急操作情報は、事故につながる可能性を判断する材料となります。この部分を『見える化』することで、安全運転の程度や課題となる運転動作を点数で示すことができるのです」

▲SmartDriveの走行履歴画面では、ルート間ごとの運転動作が点数で表示される

田中さんは、こうした情報がドライバーへの的確な指導につながり、事故を未然に防ぐ効果をもたらすと考える。ハインリッヒの法則(分析により導かれた労働災害の発生比率)における「ヒヤリハット」を減らしていく取り組みだ。

業務効率化を実現する4つの角度

業務効率化についてはどうか。こちらは、走行開始と終了の地点や距離、時間などのデータが対象となる。田中さんは、物流現場において「スケジュールの予実管理」「車両台数の適正化」「配車計画業務の効率化」「適切な労務管理」の4つの角度から効率化を実現できるという。

スケジュールの予実管理は、予定通りに輸送が進捗しているかどうかを判断する。店舗から「まだ商品を積んだトラックが来ない」と苦情が寄せられた場合、トラックの現在地はSmartDriveの機能で分かったとしても、それが予定通りの行程なのかどうかは判断できない。この「予定との差異」については、他社のサービスと連携してサービスを提供する。こうした融通が利くのは、SmartDriveが移動データの利活用に特化したプラットフォームだからだ。

▲エリア偏重ヒートマップ(左)とエリア最適化レポート

車両台数の適正化は、車両の走行時間と頻度などのデータを照らし合わせて余剰の有無や台数を数値化することで実現できる。配車計画業務の効率化は、SmartDriveの車両管理システムを導入することで計画策定の工数削減や属人化の回避につながると考えられる。適切な労務管理については、車両の待機時間や超過勤務の実態を数値データから具体的に把握できることから、納品先の物流拠点への移動時間やルートの変更などで、就労環境の改善につなげられる。

価値化の実現に不可欠な「充実したサポート体制」

確かに、数値化による可視化は安全や業務効率化といった現場業務の課題を解決する頼りになる武器と言えるだろう。しかし、結局はデータをいかに的確に活用するかが、課題解決には不可欠なプロセスではないか。「その通りです。データの価値化を現実のものにするには、充実したサポート体制が必要です」。田中さんは、スマートドライブの車両管理サービスによるデータ取得は課題解決というゴールに到達するための「手段」だと言い切る。

SmartDriveの運営チームには、取得した移動データに納得できる妥当性があるかどうかを判断できる専門家がいる。さらに、データの活用方法など顧客の相談に応じる「カスタマーケア」「カスタマーサクセス」と呼ばれる顧客サポート窓口を整備している。SmartDriveのシステムの先進さと比べると、非常にアナログの要素が強く人間味を感じるが、それこそが「SmartDriveの究極の強み」(田中さん)だという。顧客の声を直接聞くことで、潜在的な課題の発見や、機能拡充のヒント獲得につながるという。一例として、SmartDriveに新たに搭載された、渋滞状況を把握できる機能は、こうした顧客からの相談が端緒になっている。

▲データで浮き彫りになった実態に基づく継続的な安全運転啓蒙を目指す

ここで特筆すべきなのが、SmartDriveの顧客を対象にした全国安全運転イベントだ。4回目の開催となった今秋の大会には、80社1000人が参加。安全運転の技術をスコア化し、対象期間における各社・各ドライバーの値を競い合うところに面白さがある。ここに表れる人間の「性」(さが)が、SmartDriveというデジタルとアナログの融合した車両管理システムの完成度をより高めていると、田中さんは指摘する。「数値で見えるからこそ、人間はやりがいを見出し価値をさらに高めようと努力する。それが、課題解決というゴールに到達する原動力になると考えています」。

データ取得という先進技術と、それを端緒に顧客と寄り添いながら課題解決を支える優しさ。その両方が融合して初めて、SmartDriveは成立する。ここに、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化のあるべき道筋のヒントがあるのではないだろうか。

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