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関西物流展特別セミナー登壇レポート/最終回

2022年7月1日 (金)

話題LOGISTICS TODAY(東京都新宿区)の赤澤裕介編集長と永田利紀・企画編集委員が登壇した、「第3回関西物流展」「第1回マテハン・物流機器開発展」の特別セミナー講演「物流ロボット導入事例、隠された『その後』を徹底追跡〜忖度なし。使えたのか、使えなかったのか〜」の現地レポート。第6回(最終回)は、ロボット導入を検討する上で「排除すべきもの」をズバリと提言します。


ロボット導入の検討段階における禁句、それは「全部」「完全」

<赤澤>
そうしたらいよいよ、最後のテーマになります。ロボット導入の目的。皆さん、いろいろな目的地に設定されて、そこに向かって様々な検討をされると思います。その検討過程から、ぜひこれは排除しないとなかなか難しいところがありますよ、という話だと思います。それでいいですか。ぜひ遠慮せずにお願いします。

<永田>
まず絶対に排除していただきたいのは、「全部」それから「完全」この2つは禁句です。

<赤澤>
「全部」と「完全」。同じじゃないですか。

<永田>
まず全部できない、ということです。必ず人が改善する部分は、日本の物流っていうのは日本の流通を考えるときに、物流のところだけ「完全」とか「全部」というのは無理です。ましてや商流という言葉がありますけど、お客様のところの都合とか、お客様のところへの出荷の仕様みたいなものに対して、きれい事は誰でも言えると思うんですね。今から物流をこう動かして、省人化するって。ところが、最前線だとそういうことが通じないことが多いと思うんです。

物流現場があんまりきれい事言い過ぎて、正論一辺倒の専横状態になって、他部門からすれば融通の利かない独裁者みたいになってしまうっていうのは、会社内のバランスとしてはちょっとおかしい。物流は会社の下半身にあたる部分なので、下半身ばっかりが異常に発達してて肥大したりすると上半身が見合わず貧弱でだめですし、逆に上半身ばかりが肥大して頭の回転が早くて営業力があって、企画力もあるけど、上半身が発達してるんだから下半身も勝手に強くなるんだろうっていう思い込みも間違いです。

下半身は下半身なりに、上半身に合わせて育てなければなりませんし、ロボットを導入する場合、建前としては物流つまり会社の下半身は強くなるわけですけど、その場合には見合う上半身が必要です。上が貧弱なまま、下半身だけ発達しているような体格の企業っていうのはちょっとした奇形の状態になっています。ロボットを導入して下半身を特化するのであれば、上半身もふさわしい状態に揃えなければなりません。

そこでやってはいけないのが「完全」であるとか「全部」を求めること。じゃあ、何をすればいいかというと、サポートです。まずは、法外な投資をしない。サプライヤーからたくさんお声がかかったとしても、どれほど補助金が出るような話があっても、まずは助走期間を設けて、お試しとしてやってみることが絶対大事です。

ご承知の通り、物流は2回試せないので。2回試すってことはお客様への出荷や、最前線の現場の出荷をトライをしてみるということ。本番で練習してどうするかっていう理屈は、どの企業でも持つと思うんですね。本番で練習することができなければ、やはり安全に助走から始めるべきで、まずはその部分だけちょっとサポートさせてっていう導入の形が好ましいと考えます。

<赤澤>
前半が荷主の立場からの話で、後半が物流企業にとって考えるべきこと、ですね。

<永田>
結果的にはその受け取り手ですね。荷の受け手からすると、改善する会社が荷主の内製化された自社物流機能なのか、荷主がそのまま業務委託した3PLの現場から出てくるのかというのは、ほぼ関係ない、あんまり興味がないことなので。EC(電子商取引)限定ですよね。今日Amazon(アマゾン)から荷物が届くけど、どんなセンターから出たかに興味を持つ購入者っていないんですね。最新の倉庫から出てきた洗剤も、ボロボロの倉庫から出てきた洗剤も、受け手からするとすぐ頼んだものが、正しい梱包で届けばそれでOKなんです。過程の部分にあまりこだわる必要はないよ、と。物流に個性だとか、特化もいらないんですよ、というのはご理解いただきたいと思います。

最後に

<赤澤>
ありがとうございます。これが結論なのかなと思うんですけれども、今日のお話は我々の中でお伝えしたいことの本当10%くらいなんですよね。本当はもっともっといろんなことをお伝えしたいんですけれども、我々はオンラインメディアです。インターネット専門の物流のニュースサイトでございます。

こちらの方で非常にたくさんのコンテンツを掲載しておりますが、今日は口頭でお話を聞いていただいて、中にはメモを取ってくださっている方も見えたりしているんですけれども。この話の内容もテキスト化して、後日LOGISTICS TODAYのサイトの中で、文章で読んで、もう一回「これどういうことだったのかな」みたいなことを確認していただけるような機会を作りたいと思います。動画も撮影しておりますので、これもサイト上で公開します。その中でおそらく皆さん「うち、こんな課題を持っているんだけど、どうなんだろう」とかですね、「それについて教えてほしいよ」みたいな質問はたくさんあると思います。

LOGISTICS TODAYが今までいろいろ関わってきた取材相手だとか、あるいはいろんなオンラインイベントですね、皆さんやっぱりLOGISTICS TODAYの読者の方からの質問をすごく待っていると強く感じていて、それが最終的にこの業界の中で使われるロボットの質の向上につながっていっているなというのを感じる場面もあります。ぜひ今日の話をきっかけに、私どものLOGISTICS TODAYのサイトもチェックしていただいて、今こんなことがあるのかというところを日々のニュースと合わせて見ていただきたいと思います。

ここで告知なのですけれども、来週6月28日13時から。YouTubeのライブでロボットではないのですけれども、同様に最先端の物流センター内の技術をお披露目できる機会が決まりました。

先週から視聴の申し込みを受付開始しましたけども、無料ですので。目の覚めるような最新のテクノロジーをお見せできそうです。おそらく日本の企業でこれ使いこなしている現場ってほとんどないと思うんですけれども、世界では、アメリカとかヨーロッパではもう当たり前のように物流センターの中で使われている技術です。ぜひそちらも興味がある方は、ここにQRコードがあります。この画面にしておきますので、後で気になる方はこのQRコードからの申し込みのページにいってみてください。

もしくはですね、実は今日関西物流展の中で、LOGISTICS TODAYもブースを設けております。何を展示してるんだって話なんですが、何も気にしておりません。取材拠点として、活用させていただいております。関西物流展の事務局の皆さん大変申し訳ございません。ですので、ぜひ皆さんちょっと回り疲れたなと思ったら、LOGISTICS TODAYのブースで立ち話でもされていかれてはいかがかなと思います。永田もいたり、いなかったりですが、私もなるべくはいるようにいたします。

これで私どもの話は終わりにしたいと思います。本日はどうもご清聴ありがとうございました。


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