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とうとう迎えた、運命の卒業検定

2025年5月29日 (木)

ロジスティクス銀行員から転身し、求荷求車マッチングサービス「トラボックス」の立ち上げに参画した、トラボックス取締役会長、吉岡泰一郎氏。創業以来、25年にわたって運送業と関わってきた吉岡氏が一念発起し、54歳にして大型免許の取得に挑戦。その顛末を吉岡氏自身の手記で紹介します。

ゴルフを断り路上教習に集中!

2月に入り、路上教習もいよいよ大詰め。
この頃は暖かい日が続き、ゴルフに誘われること4回。しかし、全て教習所の予約を優先して断った。
当時ゴルフのお誘いをお断りした皆さま、すみませんでした。そんな事情があったのです。

富士スピードウェイで開催されたトラックショーでの一コマ。筆者(一番左)の右にいるのが、筆者が大型免許を取るきっかけともなり、トラックでの長距離運行をさせてくれることを約束してくれた某運送会社社長こと、フジトランスポートの松岡弘晃社長

教習所の受付のY田さんの配慮で、2月の三連休に2時間ずつ教習を受けて、万全の状態で、連休明けの2月12日に卒研の日を迎える作戦。幸い路上実習も落第はなく、我らが軍師Y田さんの予定通りに事が運んだ。

個人的な思いとしては、2月15日に開催される予定だった「トラボックス大阪交流会」に、見事取得した大型免許を持参したく、そのためには一発合格しかなかった。

「トラボックス交流会」は我が社が開催する運送会社との交流会。24年間で数えること87回開催。大阪交流会は250人の参加。しかもそのほかにも50人がキャンセル待ちという状態。本当にありがたいことです。

万難を排し、いざ卒検

卒研の日も快晴だった。同じく受験される方は35歳で日頃は中型トラックを運転しているが、卒検は一回落第しているとのこと、以前とは違い、そんな話ができる余裕があった。最後だし、楽しむしかない。

卒検は「方向転換右」「方向転換左」「縦列駐車」の中から一つに挑戦することになる。当日言い渡されたのは、得意というほどでもないが、少なくとも苦手ではない「縦列駐車」だった。また、教官は初めて見る方だが、幸いにも見るからに優しそうなご年配の方だった。合格の条件は揃っていた。

卒検は、運にも恵まれ、実技中に路肩を走る自転車に遭遇することはなかった。信号で止まるべきかどうかの、微妙なタイミングもなかった。なにより道が空いていた!

結果は「満点に近い合格」と、言われた。減点は縦列駐車後に、ハザードランプを消し忘れたことのみ!

仮免を合格した時の喜びほどの感動は正直なかったものの、言いようもない達成感があった!

もちろん、すぐさま受付のY田さんに報告した。しかし、仕事中で接客中だったところを割り込んでの挨拶だったので、笑顔で「おめでとうございます!」と、言ってくれたものの声がいつもより小さかったのが、残念と言えば残念だった…。

数多の苦難の末に手に入れた卒業証明書

これが、私の3か月に及ぶ大型トラック免許取得の記録である。

やってみて思ったのは、新しいことにチャレンジすることは、新しい自分の発見に繋がるということ。
自分もこんなに緊張するのだということにはビックリであった。

また苦難の末に大型免許を取ったことで、トラックドライバーさんへのリスペクトが今まで以上に増したのは間違いない。
けん引免許の取得は考えていないけれど、トレーラーをバックで駐車する人の脳みそがどうなっているのか、一度見てみたいものである…。

せっかく大型免許を取ったのだから、ぜひ一度は長距離の運転にも挑戦してみたいもの。
その思いを知った某運送会社社長は、関西から東京まで、大型トラックを運転させてくれると約束してくれたので、これは遠からず実現したいところ。
また、トラックショーでのコース走行にも参加したい!

何事もやってみないことには分からない。
荷物を積んだ最新のトラックに乗って高速道路を運転したら、どんな気持ちになるのだろうか?どんな発見があるのだろうか?もっと運転が好きになるのだろうか?もっと運送会社さんやトラックドライバーさん達にに寄り添えるだろうか…?

そんなことを想像する今の自分の今後に、少しだけ期待したいと思っている。

◆後記

大型免許を取って以降、乗用車の運転が丁寧に、慎重になりました。特に安全確認は顕著です。ミラーの確認回数は格段と増えました。さすがに、踏切で窓は開けていませんが、運転が慎重になったのは確かです。

仮免試験に落ちた時、教習簿には4回分の受験記入欄があったので、「落第する人はいますか?」と、ついつい聞いてしまったことをよく覚えています。自分だけではないという、意味のない安心感を探していたその日のことを、今は猛省しています。

時にはネガティブな気分になることもあった教習。補習の教官に「中型免許制度ができる前は、教習所の大型トラックの免許取得は『10トントラックではなく、4トントラック」でした。10tトラックは、狭い都心の乗用車向け教習所には本当に難しいです」との言葉に慰めらたのも、今となってはいい思い出です。

つくづく平常心(心の安定感)の大切さも改めて教えられた大型トラック免許取得でした。

現在54才。まだまだ修行の日々です。

>>第1回「エリート銀行マンの転身、54歳で大型免許に挑戦」
>>第2回「大型免許を取る!」と大勢の前で豪語、退路を断つ
>>第3回「54歳、初めての大型トラック運転!」
>>第4回「教習所に慣れられず、毎度緊張しながら続く教習…」
>>第5回「試練の大型仮免試験、その結果は…」
>>第6回「路上実習スタート!ドライバーへの敬意深まる」