国際日本のアーム制御・AI技術と、中国の歩行制御技術の融合。経済安保に適合したこの手法こそが、物流現場の深刻な人手不足を救う最適な解決策だ。SUGENA(東京都渋谷区)は23日、「中国フィジカルAIの実態と、日本企業の次の一手」のテーマでセミナーを開催した。
日本の物流現場は深刻な人手不足に直面している。2040年には労働供給が1100万人不足するという試算もある。同社の須毛原勲社長は「フィジカルAIの導入は選択肢ではなく、社会の生き残り条件だ」と強調した。現場ではAGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)の活用が進むが、荷物のピッキングや積み込みを担う人間型ロボットの実用化には技術的な障壁が存在する。
セミナーの質疑応答で、当誌が物流現場におけるフィジカルAI活用の現状と課題について質問したところ、現場の実装に詳しい同社の鐘明博戦略顧問から日中それぞれの強みについて説明があった。中国の物流業界でも人間型ロボットの試みが始まっているが、足回りの歩行制御には優れていても、アームなど上半身の精密な動作が実用化の壁になっているという。
一方で日本企業は、産業用ロボットで培ったアーム制御など上半身の技術に長けている。鐘戦略顧問は「日本のアーム制御技術と、中国が得意とする下半身の歩行制御やロボット本体を組み合わせる手法が世界最強のソリューションになる」と言及。「激しい競争で淘汰が起きる中国企業の生産ラインを活用し、日中で提携してソリューションを作る道も有効な選択肢だ」と述べた。
また、中国製ロボットをそのまま導入すると、現場のデータが中国側AIの学習に使われるリスクが生じる。解決策として同社は、ハードウエアには中国製を採用しつつ、判断を担う大脳や業務アプリを日本側で開発する「分離アーキテクチャ」を提唱する。須毛原社長は「データを日本国内で処理し、日本の頭脳で賢くする体制の構築が経済安全保障に直結する」と説いた。
物流業界がフィジカルAIを使いこなすには、両国の技術の長所を戦略的に組み合わせる視点が欠かせない。
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