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駅近、空調既設と小区画で広がる用途ーー中部から物流再編支える都市型物流拠点

プロロジスパーク東海1、街と育てる物流の可能性

2026年8月10日 (月)

話題プロロジスが愛知県東海市で開発を進める「プロロジスパーク東海1」の姿が、次第に明確になってきた。

「2027年5月の竣工予定に向け、鉄骨はすでに4階まで立ち上がり、各階へ大型車両を導く象徴的なダブルランプも外部から確認できるようになった。建物の輪郭が現れたことで、周辺企業に加え、行政や商工会議所などからも視察要望や問い合わせが寄せられている」

「街づくり」と一体の開発が進むプロロジスパーク東海1(出所:プロロジス)

プロロジス営業部シニアマネージャーの加島健太郎氏は、現在の状況をこう説明する。都市密着型の大型物流施設として、早くも街の新たなランドマークとして存在感を高めている。

同施設は延床面積16万907平方メートル、地上4階建ての大型マルチテナント型物流施設。伊勢湾岸自動車道、名古屋高速4号東海線、西知多道路が接続する東海ジャンクション(JCT)から4.3キロに位置し、名古屋港や中部国際空港にもアクセスしやすい。首都圏と関西圏の中間にあり、東西広域配送の拠点として、陸海空を結ぶ輸送網の結節点としての地理的優位性を備える。

さらに近接地では、西知多道路の大田インターチェンジ(IC)の整備が進む。27年度の供用が予定されており、開設後は施設から高速道路網への接続性がさらに高まり、中部国際空港方面への輸送利便性も向上する見通しだ。

こうした広域配送への対応力と、道路、港湾、空港を組み合わせられる輸送網の厚みは、企業の物流戦略の幅を広げる。物流コストの削減や納期の柔軟化、災害・輸送障害に備えた代替ルートの確保など、いま求められているのは、日々の運用にとどまらない持続可能な物流体制の構築だ。供給リスクを抑え、在庫配置を最適化し、環境変化に応じて配送体制を組み替えられるか。そうした可変性が、経営判断に余地とスピードをもたらす。プロロジスパーク東海1は、物流を企業の意思決定を支えるインフラへと引き上げる拠点としてのポテンシャルを備える。

(クリックで拡大、出所:プロロジス)

商業施設が続々開業、動き始めた太田川駅西側

プロロジスパーク東海1が立地するのは、名古屋鉄道(名鉄)常滑線・太田川駅西側で進む複合開発地区の一角。駅から徒歩8分という、大型物流施設としては珍しい立地にある。名鉄名古屋駅から太田川駅までは特急で最短18分程度で、名古屋市内から公共交通機関で通勤できることも特長となる。

周辺区画も計画発表当初は予定地に過ぎなかったが、現在はホームセンターのカインズや、食品スーパー、家電量販店、ドラッグストア、飲食店などが入るフォレストモールが開業し、人や車の往来と賑わいが生まれている。

さらに、プロロジスパーク東海1が竣工する27年春には、日本福祉大学東海キャンパスへの社会福祉学部移転が予定され、同キャンパスの学生数は3200人規模となる見通しだ。ホテルや住宅の整備も進み、商業、教育、居住、産業・物流の機能が集まる街が形を現しつつある。

加島氏は、これまでの営業活動を通じ、「この施設の特長は、改めて街づくりとともに歩みを進めていることにあると気づいた」と話す。

駅から歩けるだけでなく、買い物や学び、暮らしの場と物流施設が近接することで、働く場所が生活圏から切り離されない。学生、ファミリー、ビジネスパーソン、物流施設で働く人もまた、街を構成する一員となる。

郊外の物流施設では、従業員の通勤手段が自家用車や送迎バスに限られやすい。プロロジスパーク東海1は公共交通機関による通勤が可能で、周辺商業施設を就業前後に利用できる。採用可能な地域や人材層を広げ、働くことと日常生活が無理なくつながる環境を提案する施設といえる。

業種限定せず、広域、消費圏配送など多様な需要に対応

東海市は日本有数の鉄鋼・製造業の集積地であり、名古屋港にも近い。このためプロロジスでは、当初、地元製造業を中心とした需要を想定していたという。

しかし実際に問い合わせや商談を重ねると、製造業に加え、小売店や店舗向けの配送、電子商取引(EC)、加工・作業を伴う事業など、想定以上に幅広いニーズが寄せられた。加島氏は、こうした需要の多様性から「エリアの懐の深さを再認識した」と振り返る。

背景には、広域配送に適した交通網と、消費・生活圏に近い立地の両立がある。これまで物流施設が少なかった伊勢湾岸道路沿いの知多・三河周辺で、大規模な物流拠点を確保できる希少性も高い。

中部エリアの物流拠点は、東名・名神利用を基盤とする内陸の小牧方面を中心に形成されてきた。これに対し、東海市は新東名・伊勢湾道・新名神につながる東西広域輸送、海上輸送や航空輸送をバランスよく組み合わせられる利点がある。大型物流施設という新たな選択肢が生まれることは、物流を起点とした事業アイデアを実現する契機にもなる。

(クリックで拡大、出所:プロロジス)

「街の中にあり、人が集まりやすいことが、人を必要とする多様なビジネスからの関心につながっている」と加島氏は説明する。生産拠点に近い産業物流だけでなく、店舗や消費者に近い配送、技術者や作業者が出入りするサービス拠点など、物流と付随業務を一体化する拠点設定が可能になる。保管や加工だけにとらわれない、都市型の施設運用の選択肢が見え始めている。

働きやすい環境の新たなあり方を、施設から提示

こうした働く場所としての価値を、建物の仕様でも具体化した。プロロジスパーク東海1では、2階から4階までの倉庫部分に天井カセット型空調を標準整備し、作業環境を30度以下とすることを想定している。

これまで物流施設の空調は、取り扱う商品や入居企業の運用に応じ、入居者側が追加工事として導入するケースが一般的だった。しかし酷暑が常態化し、倉庫内の熱中症対策や従業員の安全確保が避けて通れない経営課題となるなか、プロロジスパーク東海1では、空調についても施設側であらかじめ備えることが望ましい機能の一つと捉え、今回の計画に取り入れた。

荷主企業にとっても、物流業務を委託先任せにするのではなく、作業環境や安全性まで把握し、改善する責任が重くなっている。空調は単なる快適設備ではなく、人員の確保・定着、安定した作業、事業継続を支える基礎インフラになりつつある。

「今後は倉庫空調の有無が物流施設を選ぶうえで、これまで以上に重視されるようになる」

加島氏はそう見通す。プロロジスパーク東海1は、働く人の安全や快適性を重視した物流施設の一つのあり方を示している。

「駅近・空調付き・800坪」が開く新用途

施設計画でも特長的なのが、4階に設ける最小800坪程度からの小区画利用だ。大型物流施設でありながら、必要な面積から事業を始められるため、新規業務の立ち上げ、既存拠点を残した一部機能の移転、段階的な拠点再編などに対応できる。すでに、保管やピッキングを中心とする従来型の倉庫需要だけでなく、商品や機器を扱いながら、加工、検証、保守、事務などを組み合わせたいという相談も寄せられているという。

使いやすい面積で既設の空調が整えられ、荷物を直接搬出入できるトラックバースも備わる。駅から歩いて通え、人も集まりやすい。一般的な倉庫とオフィスの中間に位置するような、物流機能を伴う作業・事業拠点として活用できる可能性がある。

プロロジスは、都市近接の機能を生かす都市型物流施設「プロロジスアーバン」も展開している。ラストワンマイル配送や緊急配送の拠点、商品開発や検証、顧客対応などを物流機能と組み合わせ、従来の倉庫の枠に収まらない使い方を提案してきた。プロロジスパーク東海1でも、エンジニアリングやコンサルティング部門が、企業の業務や課題を聞きながら、区画の使い方をともに設計できる。

「私たちが使い方を一方的に決めるのではない。駅近、空調付き、バース付きの800坪を、どのように使うかを一緒に考えたい」

(クリックで拡大、出所:プロロジス)

加島氏が企業に投げかけるのは、従来の倉庫探しとは異なる問いだ。物流施設を借りるのではなく、その空間を使ってどのような事業機能をつくるのか。立地と建物仕様の組み合わせが、企業の発想を引き出す。

建設途中の今こそ、街の成長を体感するチャンス

プロロジスでは現在、建設現場に隣接して期間限定の「EXPERIENCE LOUNGE」を開設している。建物が完成してからでは見られない建設過程を間近に確認しながら、施設計画や物流課題について相談できる場だ。

現地を訪れた企業からは、建物の規模だけでなく、商業施設や駅、周辺開発を含めて「通常の内覧会では体感できない、街ができるまでの貴重な瞬間を見ることができた」との反応が多いという。今後は東海市の魅力を伝える催しや、建物内部を見学できる企画も順次検討する。

加島氏は「まず現地に来て、街と施設を体感してもらいたい」と強調する。図面や完成予想図だけでは伝わりにくい建物の大きさや駅との距離、周辺のにぎわいや成長に向けた脈動を実際に感じることで、企業は自社拠点としての利用イメージを描きやすくなる。

地域との接点も広がり始めた。8月には東海市の子どもたちを対象とした「ものづくり道場」に参加し、物流施設のペーパークラフト制作を通じて地域住民との交流を深めた。物流施設を街の一員として認知してもらう取り組みだ。

交通インフラ、雇用、商業、教育、暮らしが重なる太田川駅西側。その街の成長を取り込みながら、プロロジスパーク東海1は、従来の物流施設の用途を広げようとしている。

立地の優位性を説明する段階から、そこで誰が働き、どのような事業を生み出せるのかを示す段階へ。竣工まで1年を切り、街と物流の新しい関係が具体的な姿を見せ始めた。

加島氏。背景は開発中のプロロジスパーク東海1

「プロロジスパーク東海1」施設概要

所在地:愛知県東海市大田町「東海太田川駅西土地区画整理事業」地内
敷地面積:7万2804平方メートル(2万2023坪)
延床面積:16万907平方メートル(4万8674坪)
竣工予定:2027年5月竣工予定
建物概要:鉄骨造/地上4階建て/耐火構造

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