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マースク、港湾混雑が追い風で営業益2.5倍

2026年11月6日 (金)

財務・人事デンマークの海運大手APモラー・マースクが5日発表した2026年7~9月期連結決算は、売上高が前年同期比27%増の180億9500万ドル、EBIT(利払前・税引前利益)が同2.5倍の32億6900万ドルとなった。アジアでの台風による港湾混雑や中東情勢の影響で船腹供給が制約され、コンテナ運賃が上昇したことが収益を押し上げた。同社は通期業績予想を上方修正し、調整後EBITを従来の45億~65億ドルから80億~85億ドルに引き上げた。

海上輸送事業の売上高は37%増の125億7700万ドル、EBITは前年同期の5億6700万ドルから25億9100万ドルへ拡大した。平均積載運賃は46%上昇し、船舶の積載率は96%と高水準を維持した。ホルムズ海峡の閉鎖や東アジアの悪天候による港湾混雑が輸送能力を圧迫し、運賃上昇につながった。また、船舶の耐用年数見直しに伴う減価償却費の減少も利益を押し上げた。一方、輸送量は0.8%減少した。

世界のコンテナ輸送需要は7~9月期に2~4%増加した。アジアで相次いだ台風の影響により港湾の待機時間が増加し、8月25日には世界平均で16.6時間と2023年1月以来の高水準に達した。上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)でみた平均スポット運賃は前四半期比46%上昇した。マースクの分析では、世界的な貿易需要の底堅さに加え、電化やエネルギー関連投資、AIインフラ整備に伴う産業貨物の増加も輸送需要を支えている。

物流・サービス事業は売上高が13%増の44億8800万ドル、EBITが19%増の2億5900万ドルとなった。中東湾岸地域での陸上代替輸送や航空貨物、プロジェクト物流が伸長した。航空貨物の取扱量は22%増の10万トンとなり、陸上輸送やフォワーディング事業が収益改善に寄与した。EBITマージンは前年同期の5.5%から5.8%に改善した。

港湾ターミナル事業は売上高が4.9%増の15億1900万ドルとなり、過去最高を記録した。取扱量は2.6%増加し、特にアフリカと欧州で増加した。一方、EBITは前年同期の減損損失戻入れの反動で14%減の4億9300万ドルとなった。同要因を除くと6.5%の増益だった。

設備投資では、バングラデシュのチッタゴン港で年間90万TEUの処理能力を持つ新ターミナルの建設に着手したほか、ブラジルのスアペ港でも新ターミナルの運用を開始した。船隊更新では、1隻当たり1万8600TEUの二元燃料対応コンテナ船26隻を発注し、2029~30年に引き渡しを受ける予定だ。

通期予想では、調整後EBITDAを従来の105億~125億ドルから140億~145億ドルへ引き上げた。フリーキャッシュフローも30億ドル超を見込む。世界のコンテナ輸送量が通年で4%程度増加することを前提としている。海上運賃の上昇が業績を支える一方、地政学的な混乱や燃料価格の変動が引き続き収益を左右する見通しだ。

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