
話題人気トラックYouTuberのかなちゃんにLOGISTICS TODAY記者が密着同行取材する連載第8話
倉庫を出発してちょうど2時間たったあたりで、高速道路を走行中のかなちゃんは左にウィンカーを出すと、パーキングで休憩をすることにした。
4時間ごとに30分休まなければいけない「よんさんまるきゅうけい」というものだ。
「でかいから強そう」なフェイスがお気に入りだという相棒、日野のイチナナプロフィアの点検を終えると、かなちゃんはトイレへと向かう。

▲車両の点検と渋滞チェックも重要だ
「いちばん遠いところに停めて、歩くようにしてます」とのこと。
パーキングエリアに立ち寄った際は、渋滞情報のモニターチェックもドライバーには欠かせない。
渋滞が発生すると、この場所にドライバーがたくさん集まるのだという。
「お父さんと同じくらいの年齢の人たちの間から顔をのぞかせて、『うーん、どうしたものか』と腕を組んでる」と、そのときの状況を苦い表情とともに再現してくれた。
東海地方にあるドッキング先までの道のりは、いまのところなにも問題ないようだ。
パーキングエリアで「かなちゃん」と知らない人から声をかけてもらえるのはとてもうれしい。
なかでも「動画のまんまだね」よりも「動画で見るよりも小さいね」と言ってもらえるほうが、うれしいのだとか。
だけど、身長146センチと小柄なかなちゃん。そう簡単に素直に思っていたわけではない。
「最初は、『あんなきゃしゃな女の子がでっかい荷物を持っている』『女の子なのにトラックをやっている』というような言い方が、気に入らなかったんですよ。へー、なんだそれ、って。深く考えれば考えるほど、なめられてる、って悔しくなって」
「だけどいちいち考えていることに次第に疲れてきて」、あるときふと、こう思ったという。
「悪気があって言ってるわけではなくて、それは事実なわけだし、褒められていやな気はしないんじゃないか」と。
それで思い出した。
幼い頃から「女の子なのにすごいね」と言われるのがすごく嫌だったこと。
本当は心の奥底で「自分はそこらへんの男の子よりはがんばってるのになあ」という思いがあった。
「女の子なのにすごいね」と言われると、「『それなりに』という評価でしかないのか」ということに、ひどくがっかりした。
だから、そんな自分の気づかないうちに抑圧していた気持ちと出会えてからのいまは、「女の子なのにすごいね」と言われると、自信を持って声を大にして「でしょ?」と言う。
「かなちゃんねる」で伝えたいのは、「こんなかなでもがんばってるんだから、がんばろうね」ということ。
紆余曲折をへてたどり着いた等身大のマインドだ。
だからこそ、かなちゃんが視聴者に発する言葉は、多くの人にすんなりと染み入っていく。
「昔は自分がデキると思って気が強かったし、視野もせまかった。だけどいろんな角度から仕事を見ていくうちに、すごい人はたくさんいて自分なんてまだまだ雑魚だと思うようになった」と振り返る。
悪気があって言っているわけではないのに、相手にいちいち反発していた、あのときの自分の「負け」を、いまだったら素直に認められる。
勝ち続けてなんてもう必要ないけれど。
「いまのほうが、ずっと楽に生きられてるかな」とかなちゃんは実感を込めてつぶやくと、あと少し、といって再びエンジンをかけた。