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被災地を歩く、水不足と渋滞が物流直撃

2026年7月30日 (木)

国内熊本地震の被災地では、高速道路の寸断による配送便数の減少と、停電や断水に伴う水、即食商品の需要急増が同時に起きている。LOGISTICS TODAY取材班が現地を走ると、商品が届いていても短時間で棚が空になる店舗や、給油待ちの車列で滞る一般道、業務量を普段の半分程度に抑える運送事業者の姿があった。

7月28日16時27分頃、熊本県地方を震源とする最大震度7の「令和8年熊本地震」が発生した。発災から24時間後、取材班は現地へ向かった。

九州自動車道(九州道)の各所で通行規制が敷かれ、九州新幹線でも運休や遅延が発生するなど、交通網の混乱が予想された。取材班は一旦福岡空港へ降り立ち、レンタカーを使って陸路で熊本を目指した。

▲震災で崩れた、熊本城の修復中の石垣

翌29日、熊本市内では熊本城の修復中の石垣28か所が崩落したほか、イオンモール熊本で地震に起因する爆発が発生したことなどが報じられていた。福岡から九州道を南下し、熊本市街の手前にある植木インターチェンジ(IC)で一般道へ降りた。

▲日配品が空になったコンビニエンスストアの棚

植木IC周辺は、特に被害の大きかった八代市や氷川町から60キロほど離れているため、道路沿いの風景に大きな爪痕は見られなかった。しかし、国道沿いのコンビニエンスストアに入ると、物流への影響がすでに表れていた。おにぎりや調理パンといった日配品の棚が空になっていたのだ。

店員に話を聞くと、「普段よりも配送便数が少ないため、次の便が届く前に売り切れてしまう」という。交通規制によって商品が届かないだけでなく、配送便の数自体が減っている状態だった。

▲コンビニの飲料は水やお茶から無くなっていく

植木周辺の店舗では飲料の在庫が比較的残っていたが、熊本市街を抜け、さらに南の被害が大きい地域へ近づくにつれて状況は変わった。

イオンモール熊本の近くにあるコンビニでは、コーヒーやアルコールを除く飲料類の棚までもが完全に空になっていた。商品が届いていないのかと店舗スタッフに尋ねると、「商品は普段通り届いている」という。

停電や断水で調理できない世帯が増え、すぐに食べられる商品が入荷直後に売り切れる。同時に飲料水も買われるため、商品が届いても短時間で棚から消える状態だった。福岡に本社を置くスーパーマーケット「トライアル」の近隣店舗担当者も、「とにかく水の需要が異常に高い」と語った。

被災地では、配送能力の低下だけでなく、生活環境の悪化による需要急増も重なっていた。同じように商品棚が空になっていても、地域や店舗によって品薄の要因は異なっていた。

被災地の各所では断水が発生し、行政や自衛隊による給水車での水供給が始まっていた。しかし現地では、上水道の設備自体は無事でも水が手に入らない地域があった。

熊本では地下水を電動ポンプでくみ上げて利用している家庭も多く、停電によってポンプが停止すると水を使えなくなる。地震の影響で地下水自体が出なくなる事態も相次ぎ、行政は新たな地域へ給水車を派遣する対応に追われていた。

水不足は住民生活だけでなく、物流現場にも影響していた。地元の運送事業者は、「とにかく水の確保が深刻だ。水もなしにこの猛暑の中で荷役作業はできない。高速道路も不通区間があり通常の運行ができず、普段の半分程度の業務量に抑えざるを得ない」と厳しい表情で話した。

30日正午時点で、九州道の松橋ICからえびのIC間は上下線ともに不通となっていた。九州の南北を結ぶ動線が寸断されたことで、本来は高速道路を通過する車両が周辺の一般道へ流入し、慢性的な渋滞を引き起こしていた。

さらに、ガソリンスタンドには給油を待つ自家用車の行列が発生していた。車線の多い幹線道路沿いでは1車線が塞がれる程度で済むが、対面2車線の道路では行列によって通行可能な幅が狭まり、車両の流れが滞る。

▲対面2車線道路でガソリンスタンドに行列する車両は他の車両の滞留を引き起こす原因となっていた

高速道路からの迂回車両とスタンド待ちの行列が重なり、物流車両の運行は困難を極めていた。九州道の寸断は、被災地への物資供給だけでなく、九州を南北に移動する車両全体に影響を及ぼしている。

不通区間の復旧時期は見通せず、道路事情が安定するまで、熊本県内を発着、通過する輸送には大幅な遅れが続く可能性がある。配送便数の減少、生活物資への需要集中、水不足、一般道の渋滞が重なるなか、被災地の物流は供給と輸送の両面で厳しい状況に直面している。

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