
▲「BLAZE e-CARGO」(出所:ブレイズ)
ロジスティクス免許不要で運転できる小型車両が、物流のラストワンマイル配送の現場に相次いで投入されている。電動モビリティーメーカーのブレイズが手がける四輪特定小型原動機付自転車「BLAZE e-CARGO」は9月3日、国土交通省認定機関による性能等確認制度の適合認定を取得し、同社の特定小型原付は全4車種が確認取得済みとなった。こうした車両の広がりを追うと、安全性を巡る規制の網には、車両区分によって整備の進み方に大きな差があることが見えてくる。(編集委員・刈屋大輔)
規制密度に生じる段差
ラストワンマイル配送の現場では近年、運転免許を持たないスタッフでも配達業務に就けるようにする車両の導入が相次いでいる。Amazonは2023年10月、リヤカーを装着した電動アシスト自転車による配達を日本で開始し、軽バンや運転免許を保有していない人材でも配達を担えることを導入理由として明示した。翌年には配達員の意見を反映した新型も投入され、対応エリアを広げている。今回性能等確認を得たBLAZE e-CARGOも、16歳以上であれば免許不要で運転できる四輪の特定小型原付であり、最大30キロの積載が可能な荷台を備える。
運転者を選ばない設計だからこそ、車両そのものの安全性がどこまで作り込まれているかが、これまでとは違う重みを持つ。ところが、その担保のされ方は車両区分によって一様ではない。自転車やリヤカーといった軽車両の積載重量・寸法の制限は、道路交通法上、都道府県公安委員会規則に委ねられており、全国一律の基準は存在しない。荷台そのものの構造的な強度に関する国レベルの技術基準も、現時点では見当たらない。
これに対し、特定小型原動機付自転車やペダル付き電動バイクといった比較的新しい車両区分には、国土交通省が保安基準を整備した上で、認定機関が適合性を確認する性能等確認制度が用意されている。BLAZE e-CARGOが今回得た認定も、この枠組みによるものだ。同じ配送現場に、都道府県ごとの重量制限しか根拠を持たない車両と、国の確認済み表示を掲げる車両が混在する構図になっている。
積載超過という運用リスク
もっとも、荷台の構造基準さえ整えれば十分というわけではない。BLAZE e-CARGOの最大積載量は30キロ、Amazonのリヤカー付き電動アシスト自転車も段ボール箱にして数十個分が上限とされ、一度に運べる量には限りがある。積載量の上限が低いほど、同じ荷物量をさばくには配送拠点との往復回数を増やさざるを得ず、効率を優先するあまり積載上限を超えて荷物を積み込む圧力が生じかねない。

▲Amazonのリヤカー付き電動アシスト自転車(出所:Amazon)
実際、自転車配達における転倒事故の一因として、コントロールし切れないほど荷台やカゴに積み込む過積載が労働災害防止の現場で指摘されてきた。免許不要車両の普及を機に、こうした過積載を含めた運用実態への目配りと、違反時の取り締まりの実効性を高める方向性も、あわせて検討されるべきだろう。
取り締まりも車両ごとに濃淡
監視の向き方にも偏りがある。電動アシスト自転車のアシスト比率を超える違法改造は社会問題として扱われ、国民生活センターが2023年に基準不適合の車両への注意喚起を公表したほか、24年10月には大阪府警がアシスト制限を解除する改造部品を大手メーカーのロゴ付きで販売した業者を商標法違反容疑で摘発している。速度に関わる不正は摘発事例が積み上がる一方、荷台や積載装置を対象にした同種の摘発は、確認した範囲では見当たらない。取り締まる基準そのものが曖昧で、違反かどうかの判断がつきにくいことが背景にあるのではないか。
国交省は25年2月、外観こそ電動アシスト自転車に似ていながらアシスト力が過大だったり、ペダルを漕がずに走行できたりする「ペダル付き電動バイク」について、バッテリーの安全性や走行安定性に関する保安基準を新たに整備し、同年4月からは性能等確認制度の対象にも加えた。速度や走行性能に関わる規制がこうして後追いながらも形を整えつつあるのに対し、積載装置を巡る基準の空白は、依然として手つかずのまま残っている。
免許という参入条件を緩めた分、車両の構造面での安全性をどう補うかが問われる局面に入っている。速度の不正には摘発の実績が積み上がる一方、荷台や積載量については基準も取り締まりも追いついていない。この非対称をどう埋めるかが、次の焦点になるだろう。
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