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中継輸送拠点、公的支援の的は高規格インフラ

2026年9月7日 (月)

拠点・施設国土交通省は9月4日、改正物流効率化法(令和8年法律第21号)の施行に伴う関係省令案を公表し、意見募集に入った。柱となるのは、同法で創設された「貨物自動車中継輸送実施計画」の認定制度に関する具体的な規定整備である。省令案が定める施設基準を読み解くと、国が政策支援の対象として、どのレベルの拠点を想定しているかが見えてくる。(編集委員・刈屋大輔)

中継輸送は、長距離運行の途中でドライバーや車両を交代させ、拘束時間の短縮と輸送効率の向上を図る手法だ。2024年4月に適用が始まったトラックドライバーの時間外労働の上限規制は、一人のドライバーによる長距離運行という従来の働き方に見直しを迫っており、これが中継輸送の推進を後押しする最大の要因になっている。もっとも普及は関心の高さに実態が追い付いておらず、国交省が21年秋に実施した調査(回答339社)では、前向きな事業者が半数を超えた一方、実際の実施は16%にとどまった。

同省が24年10月から4回開いた「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」は、25年4月の報告書で、拠点整備の必要性を指摘するとともに、ダブル連結トラックや自動運転トラックといった新技術への対応や地域活性化にも資する「基幹物流拠点」の整備について、地方公共団体も参画するスキームや支援措置を検討するとした。今回の省令案が定める「特定貨物自動車中継輸送施設」の基準(施行規則案第四条の四)は、高速道路インターチェンジ(IC)等の周辺5キロ以内という立地条件、床面積2000平方メートル以上(貯蔵槽倉庫・冷蔵倉庫は容積4000立方メートル以上)という規模、鉄骨造・鉄筋コンクリート造等の主要構造部、情報システムや大型車対応の荷さばき機能など、相応の設備水準を求めており、この基幹物流拠点構想と方向性が符合する。

こうした高規格拠点への布石は、すでに民間開発の動きにも表れている。三菱地所は、高速道路ICに直結し完全自動運転トラックの受け入れにも対応する「次世代基幹物流施設」の開発を、神奈川県横浜市、京都府城陽市に続き、2025年11月には愛知県日進市でも始動させた。東名高速道路名古屋ICに近接するこの拠点を含め、三大都市圏を結ぶ「基幹物流構想」として展開し、ダブル連結トラックや自動運転トラックが3拠点間を巡航する物流網の構築を目指すという。主要幹線の要衝に大規模拠点を構え、複数事業者や次世代モビリティーが共同利用する流れは、今回の認定制度とは別に、民間主導ですでに現実のものになりつつある。

▲愛知県日進市日進北部地区、高速道路IC直結型次世代基幹物流施設の完成予想イメージ(出所:三菱地所)

一方、現に稼働している簡易な中継拠点との対比も見逃せない。NEXCO中日本と遠州トラックが開設した「コネクトエリア浜松」は、敷地8000平方メートルに30台分の駐車スペースを設け、トレーラー交換やドライバー交代を主用途とする施設。公式サイトには、構造物がないため、貨物の積み替えはできないと明記されている。トラクタの交換やドライバーの交代だけであれば、こうした簡易な駐車・交換スペースで対応できる。事業者間の協定に基づき車両を相互使用し、相手先の既存営業所を活用する手法も、1997年の通達に基づき従来から認められている。

▲コネクトエリア浜松(出所:NEXCO中日本)

両者を並べると、今回の制度が目指す方向性が浮かび上がる。小規模なヤード的な拠点とは別枠で、高規格拠点を支援していくということなのだろう。小規模拠点が路線ごとに乱立するより、東名・名神のような大動脈上の要衝に大規模拠点を集約し、多数の事業者や将来の自動運転トラックが共同利用する方が、輸送効率や投資効率の面で理にかなうという発想も成り立つ。国が独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の出資・貸付という公的資金を投じる以上、支援対象を個社の投資力で賄える簡易な拠点ではなく、こうした広域インフラに重点化する狙いがあるとみられる。

荷主の計画提出と絡む構図

もう一つ押さえておきたいのが、荷主側の制度と絡む時間軸である。改正物流効率化法では、前年度の取扱貨物重量が9万トン以上となる荷主が特定荷主に指定され、物流効率化に向けた中長期計画の提出が義務付けられた。初回の提出期限は経過措置により2026年10月末に設定されている。今回の省令案の意見募集期間(9月4日−10月4日)や施行日(11月1日)は、この提出時期と近い秋の期間に位置している。

特定荷主向けの手引きでは、貨物を中継しながら輸送する場合の重量算定ルールが明示されており、中継輸送は荷主制度の枠組みの中ですでに扱われている。特定荷主が中長期計画に中継輸送の活用を書き込む動きが広がれば、簡易な拠点による対応では追いつかない大口・広域の需要が生まれる可能性があり、そうした需要の受け皿として、今回制度化される高規格拠点が機能する場面も出てくるだろう。

省令案は3つの改正から成る。物流効率化法施行規則の改正で認定申請の記載事項や特定貨物自動車中継輸送施設の基準等を定めるほか、JRTTに関する省令改正で同機構による出資・貸付けを業務に追加し、地方運輸局組織規則の改正で一の地方運輸局管内で完結する事業の認定権限を地方運輸局長に委任する。公布は10月上旬、施行は改正法と同じ11月1日の予定だ。

制度が動き出した後に問われるのは、この高規格拠点がどれだけ整備され、実際に多数の事業者に開かれた形で利用されるかだ。簡易な拠点による対応と、公的支援を受けた広域拠点による対応がすみ分けながら中継輸送全体の裾野を広げられるか、21年調査で16%にとどまった実施率をどこまで押し上げられるかは、この役割分担の実効性にかかっている。

小規模なヤード的拠点への目配りが全くないわけではない。国交省の「地域の事業者間連携を通じた物流生産性向上推進事業」では、地域の産業団体や荷主、トラック事業者等が参画する協議会を対象に、中継輸送に必要な資機材等の導入費用を補助する枠組みがすでに用意されている。もっとも、こちらは実証・事業化経費への補助(上限5000万円、27年2月までの事業期間)であり、JRTTによる出資・貸付けという金融支援を組み込んだ今回の認定制度とは、支援手法の性格が異なる。小規模拠点の底上げを単年度の補助にとどめず、高規格拠点と並走する形で継続的に支える仕組みへと育てられるかが、中継輸送の裾野の広がりを左右する分かれ目になる。

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