
話題必要な業務に必要な人材をあてる。
重要な仕事は優秀な人材をあてる。
基本の復唱のような話が続くが、今一度確認する意味でお読み願いたい。
第5章- 適正と適材
■ 適正な優先順位
「企業の事業において、部門間優劣など存在しない」というのは経営の模範解答だが、現実にはそうなっていない。特に、俗にいうコストセンターに属する部門は評価や人材投入の優先順位が低くなりがちだ。物流にどの番号が付されるのかは二の次として、扱いや経営原資の投入について優先順位が下がったままなのは、今や大きなリスクなのだと考えている。
■ 「得る」よりも「失わない」経営

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内需についてはもはや拡大は望めない。現状維持や縮小下でも利益確保できる費用管理能力が企業経営の肝となるはずだ。「造る・売る」ことに加えて「保つ」という言葉のもつ意味がより重要視されるだろう。増えない個客数・上がらない客単価・下がらない労務費、という前提条件のもとに企業を経営するには、総労働量の抑制による販管費削減を選択肢から外せない。
コロナウィルスの流行は未曽有の厄災とされているが、20年分ぐらいに相当する変革を瞬きする間に成し遂げざるを得ない地球規模の地殻変動に似たインパクトを有する圧力となった。
すでに顕在化しているが、事業に必要な機能の優先順位とそれに応じた人材配置が、抜本的に見直されている。現況下から続く未来に重要視される機能には物流が筆頭に挙げられると断言してきた。
それは物流に携わる人材への需要と評価が増すと同意であるし、物流専門職の養成や確保は企業経営の大きな礎となるに違いないと言い換えてもよい。
■ まずは内部者
物流部門の人材選定には他部門と同様の基準で全く支障ない。特別な資質や能力は「あるに越したことはない」といった程度で、特段の条件など皆無だ。むしろ会社内での既成イメージや現実の評価履歴の改善こそが何よりも求められる環境整備条件と言える。

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「物流業界はマイナーで不人気業種」「物流会社は地味で面白みに欠ける」「物流部門は出世に無縁」「物流業務は裏方仕事ばかりで、やりがいがない」…以下省略。ヒソヒソ、コソコソと話したり、口にせずとも内心は多くの企業人が抱いている先入観や偏見を「正しく改めること」こそが、物流機能強化のための第一歩となる。
物流が面白くないというのは、食わず嫌いの典型であるし、辛辣に言えば「無知と偏見」と断じてはばからない。「物流は花形部門」とはならないまでも、「プロフェッショナルたる専門職がしのぎを削る重要な業務」という評価が一般化する時代は確実に近づいている。
―第5回(11月2日公開予定)に続く
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