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「保管料商売はやめました」第2回コラム連載

2020年11月24日 (火)

話題売手と買手、貸主と借主、委託者と受託者、いずれも互いに不可欠な関係にありながら利益相反している。ゆえに営業倉庫においても荷主と倉庫には一対で物流業務をこなすという目的の一致があるにもかかわらず、常に平行のまま交わらない、ねじれたまま段差ある行き違い状態の項目が存在する。その代表は保管料だ。(企画編集委員・永田利紀)

「保管料商売はやめました」第1回コラム連載(https://www.logi-today.com/408179

第2章- 荷主との温度差

■ 日常会話

(イメージ画像)

「もう少し保管料を安くできませんか」は、「おはようございます」と同じぐらい聞きなれた言葉だ。ちなみに「もう少し送料を安くできませんか」は寝言にまで出てくるほど人気ワードとなっている。「もう少しピッキング単価を下げてもらえませんか」や「入荷計上費用を抑えてほしいのですが」などという要望は稀でしかないはずだ。

私見だが、おそらくはピッキングや入荷単価の妥当性を判断する根拠が解らないために、値下げ要求の端緒を切りにくいのではないだろうか。梱包費や事務手数料なども、単価検討時に摩擦のもとになることは比較的少ない。この「比較的」だが、何と比べているのかという話になる。

■ 根拠なく感覚のみで

常々の商談では寛容だったり、理解が早かったりする荷主の代表者や担当者が、保管料や運賃については突然人が変わったようになってしまうのはよくあることだ。「聞いた話では」「相場よりも割高」「ネット情報では」「他の物流会社は」「儲けすぎなのでは」のような、根拠不明や理由曖昧、事実未確認の状態にあるにもかかわらず、通常では見せることない相当な圧と執着をもって、交渉に臨む傾向は強い。

(イメージ画像)

「保管料になぜ通路の分まで含まれるのか」と憤慨して質問する荷主。一般的な回答は「通路がなければ荷役ができない」からで、それは廊下もしくは扉の前に空間がなければ居室への出入りができぬことと同じだ。個人的にも心底うんざりしていた。「毎度毎度うるせえよ。ちょっと考えりゃわかるだろうが。誤魔化しやら不当な儲けなんぞしねえよ」と啖呵を切ってから、椅子を蹴って、上着をばさーっと羽織りながら「あばよ」と言い放って退出する…ところで目が覚める。「夢でよかった」と安堵の吐息とともに、よろよろ起床する。

そしてその日もまた「そんなご無体な。どうかご理解しておくんなまし」とすがるように荷主企業の担当者に平身低頭お願いするのが最多パターンだった。かように保管料総額については、「占有」という感覚の溝を埋めるところから始めなければならないことも珍しくはない。上目遣いのまま理詰めで積み上げた説明を、最後には「なんか納得いかないな。すごーく嫌だなあ」みたいな言葉でリセットしようとする経営者も少なくない。思い浮かぶだけでも両手の指では足らぬが、こんな話で足まで出すのは御免だ。

■ 保管勝ちは薄利のはじまり

(イメージ画像)

総請求額に占める保管料比率が高ければ高いほど、営業利益率は下がる。これは物流会社の常識だ。特殊設備や高度技術の伴う保管業務でもない限り、今や割のいい保管料設定など不可能だし、各社は似通った単価で薄利という点でも同様だろう。少しばかり割増しても、たいして変わらぬ利益額なら、荷主の交渉の具として風当たりの強い保管料単価は抑えて、荷主が「従量請求」と実感納得できる荷役料で勝負に持ち込む方が手なり感に満ちている。

入荷料・ピッキング料・梱包料・事務手数料・システム使用料――このぐらいまでが本気の請求項目であり、実際にも利益の大半を占める。かたやで保管料金や立替運賃、資材費などはノーガード戦法に徹し、明朗会計、近隣他社と同水準を専らとしなければならない。

単価や相場情報を入手しやすい請求項目は、絶対に割高感を抱かせてはならない。なぜなら「これがあるから何とかなっているものの」と胸をなでおろすこと毎度の、歩留まりが良い請求項目にまで猜疑の目が向けられる事態は避けなければならないからだ。

―第3回(11月30日公開予定)に続く

永田利紀氏の寄稿・コラム連載記事
■連載
コハイのあした(連載9回)
https://www.logi-today.com/361316
BCMは地域の方舟(連載3回)
https://www.logi-today.com/369319
駅からのみち(連載2回)
https://www.logi-today.com/373960
日本製の物流プラットフォーム(連載10回)
https://www.logi-today.com/376649
もしも自動運転が(連載5回)
https://www.logi-today.com/381562
あなたは買えません(連載5回)
https://www.logi-today.com/384920
物流人になる理由 (連載6回)
https://www.logi-today.com/400511
保管料商売はやめました(連載中)
https://www.logi-today.com/408179

■時事コラム

“腕におぼえあり”ならば物流業界へ
https://www.logi-today.com/356711
-提言-国のトラック標準運賃案、書式統一に踏み込め
https://www.logi-today.com/374276
物流業界に衝撃、一石”多鳥”のタクシー配送
https://www.logi-today.com/376129
好調決算支える「運賃値上げ」が意味すること
https://www.logi-today.com/377837
ヤマトのDM便委託は「伏線回収」の始まりか
https://www.logi-today.com/401241
コロナ発生時の初動、天災が人災と化すことを危惧
https://www.logi-today.com/406463
越境ECは死語になるか、菜鳥網絡日本参入の意味
https://www.logi-today.com/407525
■取材レポート
業界の“風雲児”MKタクシーに聞く「タク配」の可能性
https://www.logi-today.com/380181
その仕事、港湾でもできますよ -兵機海運取材レポート-(連載3回)
https://www.logi-today.com/386662