「物流人になる理由」第6回コラム連載

話題「腕におぼえある人材にとって、物流業務はブルーオーシャン」と主張してきた。あくまで私見の予測だが、その続きとして「物流は近々に人気職種となって、要職への道は狭き門の連続となるだろう」と言い添えておきたい。

第7章- 青い海と赤い海

■ 機能部門の要（かなめ）

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生産・仕入・営業などに次いで、物流機能は事業計画の中で重要な要素となりつつある。「いつも変わらぬ安定の美味さで、値段も安い」という人気食堂のような中身が求められるだけでなく、その精度と環境対応力は企業の競争力に大きく作用するからだ。

既に多くの経営者がその事実を再認識し始めているし、瞬く間に「あたりまえのこと」として流布し、経営原資の投下が数多の企業で行われるのは疑いない。そしてなにより特筆すべきは「まさに今、最も危機感を持たねばならないのは、既に物流業務に就いている役職者や正社員である」ことだろう。

物流が機能部門の要所となれば、当然ながらそこに就く人材にも相応の能力や行動が求められる。凪いで穏やかな青い海で、のんびり船を漕いでいたままでは、すぐに下船させられるか、船長や機関長などの要職からは外されてしまう。

■ 外界の赤い海から

物流部門に他部門から配転される人材は、すでに赤く熱して競合ひしめく荒れた海で戦ってきた猛者ぞろいとなるはずだ。経営の要求を受けた人事なら、そこには各部門のエース級が投入されるに違いない。また、そうでなければ経営の下半身にあたる重要機能を対外的な武器や強みとして「視えない兵力＝兵站の充実」として生かすことが難しくなる。

名実ともに物流は主要部門であり、そこに携わる人材は要所要職者として評価される。これを夢物語と感じるなら、「あなたは既に遅れているか、ずれていますよ」と断言する。その言を嗤（わら）う者がいるなら、今は黙して甘受するつもりだ。

■ 約束の実行者

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海が赤くても青くても、物流機能は粛々と稼働する。積み荷が増えても、航行速度が上がっても、昼夜を問わず船長の指示通りに機能する。船長が必要と考えて出した指示であれば、それが無理難題であろうと必ず完遂するまでだ。企業の大前提に「すべては顧客のために」があるはずだからこそ、全部門が職責を全うすることに疑いを持たない。物流部門もその例に漏れることはない。

個客との約束は守らなければならない。その最後の仕上げは、物流が担う。

正しく造られた製品が正しく保管されて正しく届けられる。そして正しく使用されれば、正しい効果や利便や知覚や機能などの「約束」が完結する。約束を違えなかった者への報酬は利益として認められる。普段は視えない場所で無意識の業務を淡々とこなす基幹機能だが、そこに携わることを悦びとし、誇りとする人材の多寡は、企業の事業展開に大きな影響を及ぼすはずだ。こんな言及も無用になる日が近いのだと信じて止まぬ今この時である。

（了）