イベント中国・蘇州を拠点とする物流器具メーカーのアルスコ(ALSCO)は10日から12日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」に出展し同社の製品をアピールした。

▲サイズ可変式のパレットの説明をするアルスコの王長征副社長。オレンジ色の部分はフォークの刃が当たり破損しやすい部位だが、取り外して交換することができるので、パレット本体が長寿命で、炭素排出量も低減できる。同様にフチの部分にパーツをつなげることで11型か12型にサイズを変えることができる
アルスコは2016年に設立され、現在は「蘇州優楽賽共享服務」として事業を展開する。自動車産業を中心に、繰り返し使用できるリターナブル容器やコンテナのプーリング(共同利用)サービスを提供しており、回収・洗浄・再利用を通じて物流効率の向上と環境負荷の低減を図っている。江蘇省蘇州の本社を中心に、中国全土の自動車生産地域に多数のコンテナ管理センターを展開し、連雲港や塩城には自社工場を構えて容器の製造やリサイクルも行う。もともとはタイヤラック製造から始まった企業で、現在も自動車用バッテリー運搬資材などで大きな中国国内シェアを持ち、自動車関連物流に大きな強みを持つ。
同社の顧客は大手自動車メーカーや部品サプライヤーをはじめ、電池など新エネルギー関連分野にも広がっている。2023年時点で3600社以上と取引し、数百か所に拠点を持つなど、中国の物流資材プーリング市場を代表する企業の一つに数えられている。循環型の事業モデルを強みに、持続可能なサプライチェーン構築に貢献しているのが特徴だ。
展示ブースでは自動車バッテリー用のスリーブコンテナや、11型と12型に可変なパレットなどを展示。同社の王長征副社長は、「現在日本ではパレットはレンタルが主流。当社ではパレットを購入してもらい、使用後はこちらが買い戻す『プーリング』というサービスを提供する」と説明。同社のプーリングは、利用者はパレットを購入しなければならないが、アルスコが買い取る価格が高めに設定されているため、一回当たりの利用料が安くなるのが特徴。
また、パレットは同社が回収を行い、確実にリユースを行う。王氏によれば、「これからは自社の物流だけで無く、関連会社の炭素排出量であるスコープ3まで問われる時代。環境負荷を下げた資材の活用は、これからの物流には必須となる」という。また同社はイタリアの自動車部品メーカーに発注した高硬度と軽量化を実現した鉄製パレット(鉄パレ)も提供。木製、樹脂製のパレットに比べライフサイクルが長く、これも炭素排出量削減に寄与する製品だという。

▲同社の鉄パレは自動車部品メーカーの高度な技術で製造され高硬度で軽量
さらに、同社のパレットや台車にはすべてGPSを搭載。王氏は「位置情報を元に、必要な資材がどの拠点にあるか、稼働率はどのくらいなのかをデータで一目でわかる」と説明し、「棚卸しが一瞬で終わるし、必要な資材はどのくらいあるのかも手に取るようにわかる。特に規模の大きな事業者にこそメリットのある機能だ」と強調した。
同社はすでにこうしたGPSによる資材管理を、パレットだけでも中国国内で数百万個単位で提供。こうした実績と、すでに膨大な数のサービスを運用していることによるスケールメリットを武器に、日本国内に売り込みをかける。
取材の終わりに王氏は、すでに、SBSリコーロジスティクス、SBSグローバルネットワークとの商談が始まりつつあると明かし、「日本国内ではまだまだ資材の標準化が進んでいないことが、効率化の大きな障壁となっている。国内のより多くの物流企業と協力体制を構築することで物流の標準化を進め、日本が直面している24年問題の解決に寄与したい」と意気込みを明かした。
■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。
※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。
LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com
LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。
ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。