イベント「国際物流総合展2026」(9月8−11日、東京ビッグサイト)が、出展社数600社・団体、ブース数3250、来場者想定8万5000人という過去最大規模で開幕した。会場は東1−3・7・8ホールに加え、今回初めて西1−4ホールにまで広がっている。主催者発表によれば初日(9月8日)の来場者数は1万3000人にのぼった。

▲多くの来場者でにぎわう東ホール
筆者が訪れた9日は午後から雨に見舞われたが、それでも会場の熱気は衰えなかった。もっとも実際に会場を歩くと、東西のホールで賑わいに差があるという声が、複数の出展者から聞かれたのも事実だ。東ホールは通路も人の波でにぎわう一方、西ホールは比較的ゆったりと商談ができる空気があった。これは決して展示会の失敗を意味するものではなく、むしろ展示会そのものが急拡大している証しでもある。今回の物流展を歩いて感じた、ちょっとしたこぼれ話をお届けしたい。(編集委員・刈屋大輔)
改修工事と重なった出展拡大
同展は2022年・24年と、いずれも東1−8ホールのみで開催されてきた(24年は580社・3242ブースで、当時の過去最多を記録している)。それが今回、東京ビッグサイトで23年末から続く大規模改修工事の影響で、東展示棟4−6ホールがちょうど26年3月30日から12月31日まで休館中となっている。会期はこの休館期間と重なっており、東ホール側で使える面積が限られるなか、西1−4ホールも使用する会場構成となった。
7団体合同主催の体制のもと、東ホールの使用制限をものともせず規模を拡大させた点は、業界の裾野の広がりを映す、まさに歓迎すべき成長の証しといえる。海外からの出展・来場も目立ち、すそ野の広がりを感じさせた。
物流の2024年問題や、26年4月に施行された改正物流効率化法などを背景に、荷主・物流事業者双方の課題意識が高まっていることも一因だろう。会場が手狭になるほどの人気ぶりは、出展社・主催者双方にとって「嬉しい悲鳴」以外の何ものでもない。
自動化ブームと大型ブース
今回、会場を歩いて何より印象的だったのが、自動化・ロボット関連の存在感の大きさだ。大規模な統合型自動倉庫システムを打ち出す出展社が増えたほか、荷物の仕分けや搬送を担うロボットの実機デモンストレーションを行うブースも目立った。
マテハン大手のダイフクは、「Robotics in Motion」をテーマに、実機展示と大型スクリーンを組み合わせて「完全無人化」に向けた自動化ソリューションを披露していた。物流情報システムの分野でも、AIエージェントとロボットを連携させ、現場の状況判断から作業指示までを自動化するデモンストレーションを披露する出展社が見られるなど、ソフトとハードを組み合わせた展示が主流になりつつある。会場ではヒューマノイドロボットの姿もたびたび見かけ、中国メーカーの存在感の高まりを指摘する声も聞かれた。

▲ダイフクのブース
自動化・省人化のテーマ自体は2024年展でも掲げられていたが、今回はその実演スケールが一段と大きくなった印象だ。こうした実機デモンストレーションは通常の商談ブースよりも広い間口を必要とする。自動化関連の大型ブースが増えたこと自体も、東ホール側の使用制限と相まって、西ホールへの拡大を後押しした一因ではないかとみられる。
初めての東西二刀流
東京ビッグサイトの東展示棟はメインエントランスやガレリアに直結する、いわば会場の”本丸”だ。対して西展示棟はアトリウムを介してアクセスする構造になっており、来場者にとっては東棟を一通り回った後に「あえて足を延ばす」対象になりやすい。
こうした東西の賑わいの差は、東京ビッグサイトでは珍しい話ではないようだ。同館では23年末から段階的な大規模改修工事が進んでおり、2025年春には別の大型展示会が東展示棟と南展示棟の分割開催を余儀なくされ、メイン会場から離れた棟へは足が伸びにくいという声も上がっていた。
今回の国際物流総合展も、東展示棟の一部が使えない中での初めての西ホール展開であり、東西の賑わいに差が出たのも無理はないだろう。実際、出展者からは「東ホールとの差が大きい」という声が相次いで聞かれた。だが、これを主催者や会場側の問題として捉えるのは筋違いというものだ。会場の建物構造や改修スケジュールは一朝一夕に変えられるものではなく、今回はいわば「初めての東西二刀流」に伴う、致し方ない産みの苦しみだったとも言える。

▲比較的落ち着いた人流となっていた西ホール
むしろ注目したいのは、来年以降への伸びしろだ。すでに会期中には「ロジスティクスフォーラム2026」と題した講演プログラムが用意されており、これをさらに西ホール側にも厚く配置していけば、西ホールを目的地にする来場者を増やせるかもしれない。東西のホールを横断させるスタンプラリーや、西ホールならではの企画コーナーの打ち出しといった、他の展示会でも実践例のあるソフト面の工夫を重ねていけば、盛り上がりを会場全体でさらに分かち合えるはずだ。
改修工事という制約のなかでも規模を伸ばし続ける物流展にとって、これは前向きな「成長痛」といったところだろう。実際に西ホールを歩いてみると、東ホールに負けず劣らず興味深い展示は数多くあった。会期は9月11日までとあとわずかだが、まだ訪れていない読者には、ぜひ西ホールにも足を延ばしてみてほしい。
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